「障がいのある人と無い人が平等な条件のもとで一緒に働く」ということが段々と身近なことになりつつあります。ここ数年、企業の障がい者雇用数は増加傾向にあり、2019年に厚生労働省が行った障害者雇用状況の集計結果が、過去最高を更新しました。障害のある方が安定して仕事に就けるよう、雇用を促進するために定められた法律「障がい者雇用促進法」では、民間企業の法定雇用率を2.2%と定めています。これは、45.5人以上の社員がいる企業には1人以上の障がい者の雇用が義務付けられているということになります。これに対し2019年は2.11%と、前年より0.06ポイントアップ、そして雇用障害者数は約56万人と、前年より2万6千人増えました。出典:令和元年の「障害者雇用状況」集計結果(令和元年6月1日現在における障害者の雇用状況)この様に障がい者の雇用の状況が向上している要因には、2008年以降約5年おきに障がい者雇用雇用促進法が改正されていることも関係していると言われています。社員のメンタルヘルスでお悩みならロコソルへ「障がい者雇用促進法」2020年の改正点2020年4月に「障がい者雇用雇用促進法」が改正されました。改正の内容は下記の2点です。①事業主に対する給付金制度の開始短い時間で働く障がい者を雇用する企業に「特例給付金」が支給されます。支給額は、障がい者1人の雇用につき従業員の人数に応じて5,000円もしくは7,000円です。給付の条件に当てはまる障がい者は下記の通り。・障がい者手帳を持っている・1年以上雇用されている(見込みでも可)・労働時間は週10~20時間未満②優良優良企業に認定制度を設ける今回新たに「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度」が始まりました。障がい者の雇用は採用して終わりではありません。本人がどんな環境で働くか、長く続けていける職場なのか、といったこともとても大事な要素です。採用後も障がい者と企業をサポートするために、障がい者の雇用に関して積極的な取り組みを行っている中小企業を認定する制度が「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度」です。この認定を受けるにはハローワークの審査が必要で、審査は受け入れ態勢や職場環境、待遇面、キャリア形成などあらゆる面から行われます。認定を受けると、厚生省のホームページに社名が載ったり、低利融資が受けられるようになったりと、企業にはいくつかのメリットがあります。障がい者は働く環境が安定し、中小企業も恩恵を受けられ、両者に嬉しい制度だと言えますね。受け入れ企業が必要としている課題は?障がい者の雇用は徐々に増えていますが、まだ目標値には達していません。雇用する企業側はどんな課題を抱えているのでしょうか?厚生労働省が2018年6月に実施した「平成30年度障害者雇用実態調査」では、企業が障がい者を雇用することについての意向は「積極的に雇用したい」が約5%~14%だったのに対し、「一定の行政支援があった場合雇用したい」は約14%~20%となっています。また下記のグラフの通り障がい者を雇用するために必要なこととして、一番多くあがっているのは「外部の支援機関の助言・援助」で約55%~65%の企業が必要と回答しています。出典:平成30年度障害者雇用実態調査(図6-2 障害者雇用を促進するために必要な施策)つまり、企業に障がい者を雇用する意向はあり、そのための知識や支援があればさらに雇用率があがっていくと予想できます。障がい者の雇用について企業は、先に挙げた国の制度を利用したり、障がい者就業・生活支援センターや特別支援学校など外部の機関との連携をとる取り組みで、より安定した雇用につながっていくでしょう。こちらの関連記事もご覧ください。「障害者雇用の制度、企業メリット、取り組みのポイントについて」障がい者雇用の理解がダイバーシティの促進へここまで、障がい者の雇用や環境づくりについて国のサポート内容、企業側の課題を紹介してきました。では実際に障がいのある方が企業で働くとなった時、一緒に働く社員の方々はどんなことを心がけたら良いのでしょうか?私の体験を元にお話したいと思います。私は以前、大企業の特例子会社※で働いた経験があります。(※特例子会社とは:大企業が障がい者を多く雇う子会社で、障がい者の雇用数は親会社の法定雇用率に算定出来る。)採用面接のときに、担当の方から「障がいのある方と一緒に働くことになります。ご了承いただけますか?」と聞かれました。私は承諾したものの、今まで障がいのある方と身近で接した経験がなく、どう接するのがいいか尋ねると、その方の回答はこうでした。「普通にしてください。今までお勤めされてきた職場の方たちとの接し方でOKです。」この「普通にする」ということが、障がい者を受け入れることなんだと私は気づかされました。もちろん、相手の障がいについて「知ること」は大事で、身の安全や心の健康を保つために配慮すべき点はあります。ですが、腫れものに触るような態度でこちらが身構えてしまうのは良くないと分かり、それからはお互いフラットな関係を保つことが出来ました。障がい者を受け入れるハード面(例:オフィスのバリアフリー化、組織体制の整備、健康管理など)は経営陣が作るものであり、私たち社員にできるのは意識面の改革や相手を知ることだと私は思います。これらのことは障がい者に限らず、国籍や性別、年齢や価値観など多様な働き方を受け入れていく、というこれからの社会を作っていくうえでとても大事な考え方です。ダイバーシティ(多様性)を知るきっかけになり、この経験は私にとって良い機会となりました。障がい者の雇用や悩み解決をサポートロコソルでは、障がい者の雇用に関するサポートも行っています。代表は福祉事業所での勤務経験もあり、障がいのある方への共感や一般企業で働く上で何がハードルになるか知見があります。障がい者雇用でお悩みの企業様はご相談ください。特に精神障がい、発達障がいの支援に力を入れています。社員のメンタルヘルスでお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「大人の発達障害とは?仕事で起こりやすい問題と行いたい対応 」