DX(デジタルトランスフォーメーション)と並んで2020年代に企業が取り組むべきテーマ今企業にとって重要なのかを分かりやすく解説します。エンゲージメントを向上したいならロコソルへ健康経営とは「健康経営」の考え方には、優良企業とは単に業績を上げている会社ではなく、従業員の健康にも配慮する会社だという基本認識があります。健康経営をしていると認められた企業をを「ホワイト500」と呼ぶのは、まさに「ブラック企業ではない」という分かりやすいメッセージともいえます。経済産業省は健康経営を次のように定義しています。「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。引用:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html企業が従業員の健康管理を経営戦略に組み込んで、それに投資することで、従業員の活力が高まる → 生産性が向上する → 組織が活性化する → 業績が上がる → 価格が上昇する(世間の評価が高くなる)という効果、良い循環が生まれるというのです。「従業員の健康に投資するのは会社の利益につながる」の実例として、経済産業省が挙げているのは、グローバル企業のジョンソアンドジョンソン(J&J)です。J&Jは、世界のグループ会社の従業員約11万4000人に健康教育プログラムを提供していますが、このような健康経営への投資1ドルに対して、3ドル分の投資リターンがあったといいます。経済産業省が健康経営を推奨する背景「健康経営」は日本再興戦略(2013年~)や未来投資戦略(2017年~)と名付けられた国を挙げての取組みの1つに位置付けられます。これらの戦略には世界的なIТ競争で後れを取らないためのDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、生涯現役社会を目指す国民の健康寿命の延伸などが含まれます。国や経済産業省が健康経営を提唱、推進する背景には次のような事情があります。・高齢化社会による労働力不足・非正規雇用の増加など雇用制度・慣習の変化にともなうブラック企業の増加・健康保険の赤字による企業負担の増加若年労働者の不足は高齢化の進行とともに深刻化するので、企業は生涯現役で頑張る健康な高齢者の戦力化を真剣に考える必要があります。終身雇用、企業一家という伝統的な雇用慣習の終焉とともに現れたブラック企業の過重労働、サービス残業は、従業員のメンタルヘルスを損なうとともに、結局企業の生産性を低下させることになります。企業が加入している健保組合は、従業員以外の高齢者の医療費を負担する拠出金の増大で赤字傾向が深刻化しています。一企業の努力では解決しない問題ですが、健康経営の取り組みが広がり、国民の健康水準が高まることが医療費の削減につながります。健康経営優良法人の認定(ホワイト500・ブライト500)とはどんな制度?健康経営に取り組む企業を増やすために、経済産業省は2016年に健康経営優良法人の認定・表彰制度を設けました。制度には大規模法人部門と中小規模法人部門の2つがあります。大規模法人部門で認定されると「ホワイト500企業」、中小規模法人部門で認定されると「ブライト500企業」を名のることができます。500という数字は「2020年までに500社以上の企業を健康経営に取り組むようにしたい」という思いから命名されましたが、すでに2部門とも認定企業は500社を超えています。ホワイト500、ブライト500の認定方法ホワイト500、ブライト500の認定は、経済産業省が各企業に送る「健康経営度調査」(従業員の健康に関する取組についての調査)に回答することで、申請資格が得られます。この調査に回答する企業とホワイト500、ブライト500に認定される企業は下図のように年々増えています。出典:「健康経営の推進について」令和2年9月 経済産業省 ヘルスケア産業課https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/180710kenkoukeiei-gaiyou.pdfどんな取り組みをするのが健康経営なのか?(ホワイト500、ブライト500に認定される条件)経済産業省が各企業・法人に送る「健康経営度調査」(従業員の健康に関する取組についての調査)を見ると、具体的にどんな取り組みをするのが健康経営なのかのイメージをつかむことができます。調査には多くの項目がありますが、主なものをピックアップすると次のようになります。1.健康経営の推進に対する全社方針を明文化しているか2.健康づくり責任者が経営トップ または 担当役員か3.一般定期健康診断受診率が100%か4.50人未満の事業所も含めてストレスチェックの実施しているか5.健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)を設定しているか6.労働時間適正化に向けた取り組みをしているか7.社内コミュニケーションを活性化させるための取り組みをしているか8.スポーツジムの利用補助など運動機械の増進に向けた取り組みをしているか9.産業医または保健師が健康保持・増進の立案・検討に関与しているか10.メンタル不調者を対象とした職場復帰、両立支援策を実施しているか11.女性の健康保持・増進に向けた取り組みをしているか12.受動喫煙対策に関する取り組みをしているか健康経営のメリット上記のような取り組みを行なうことで、従業員と会社の双方に次のようなメリットがあります。【従業員にとってのメリット】・過重労働やサービス残業に甘んじるリスクが軽減し、労働意欲が向上する・メンタルヘルスに問題が生じたときに会社が対応してくれることを期待できる・個々人の健康管理意識が高まり、病気になるリスクが減る・福利厚生制度、設備の向上が期待できる【会社にとってのメリット】・従業員が心身ともに健康になることによって労働生産性が高まる・労働災害のリスクが軽減する・従業員の会社に対するロイヤリティが高まる・離職率が低下する・ホワイト500、ブライト500に認定されることで企業イメージが上がり、売上の上昇や採用応募者の増加が期待できる・健康保険の医療費負担が軽減するまとめ健康管理は社会人なら自己責任で行なうのが当然、という意識がブラック企業を生む土壌になったとも言えます。また、超高齢化社会を迎える日本の労働問題や医療費の問題は、政府に任せておくだけでは解決せず、企業の積極的な関与による社会全体での取り組みが不可欠です。その取り組みの中心的な役割を期待されているのが「健康経営」です。エンゲージメントを向上したいならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「健康経営を行うメリットは?広島県で認定された5つの企業」