働き方改革の一環として、2018年1月に厚生労働省が「モデル就業規則」を改訂し「副業禁止」という文言が削除されました。これによって今までは厳しく取り締まっていた副業を、認める企業が増えつつあります。そしてこの副業解禁の動きは公務員の間にも広がっています。公務員=副業は全てNGと思いがちですが、必ずしもそうではありません。今回は、働き方改革によって世間に浸透しつつある「副業」にスポットを当てて、公務員でもできる副業にはどんなものがあるのか、ご紹介します。エンゲージメントを向上したいならロコソルへ公務員の働き方改革働き方改革の流れを受けて、公務員の働き方にも変化が起きています。2019年2月に人事院規則が改正されました。これによって、公務員の時間外労働は1ヶ月に45時間、1年で360時間まで(多忙な部署は1ヶ月に100時間、1年で720時間)となり、民間企業の改正と同様の設定になりました。またテレワークやフレックス勤務の導入が推奨されるなど、公務員の間でも働き方改革の動きが広まりつつあります。現状はまだ厳しい公務員の副業終身雇用制度や年功序列、退職金制度など今まで当たり前だった制度は廃止されつつあります。入社5年以内に転職する人は増加傾向にあり、ひとつの企業に一生勤める人は減ってきています。人生100年時代と言われている今、働き方改革によって残業が減り自由な時間ができれば「将来のために、少しでも収入を増やしたい。何かスキルを身に付けたい。」と思うのは自然な事だと思います。民間企業に勤める人にとって、その企業との契約はあくまで決められた勤務時間内。それ以外の時間の過ごし方は個人の自由です。その企業で副業が認められていれば、時間外に別の会社で働く、自営業を営むなど出来る副業は多種多様です。ですが公務員の場合、国民の信用を得て、守秘義務を守り、本業に専念するという義務が法律で課されていて、副業に関してもいまだに厳しい制限があるのが現状です。国家公務員については国家公務員法第103条で「公務員が営利を目的とする企業の経営をしてはいけない」と定められています。地方公務員についても地方公務員法第38条に、同様のことが定められています。規則に反すると罰則があり、厳重注意や停職、最悪の場合、懲戒免職にもなりかねないので、気を付けなければいけません。公務員でもできる副業公務員が先に挙げた信用、守秘義務、本業への専念を守り所轄庁等に承認された場合に行える副業、もしくは法律上副業とみなされない(許可なく行って良い副業)ものは以下の様なものがあります。・不動産投資(年間500万円未満、戸建て4棟以下、集合住宅9部屋以下で業務は管理会社に委託)⇒副業に該当しない・太陽光発電の売電(10kwh未満)⇒副業に該当しない・株式・FX投資⇒収入金額に定めはなく、副業に該当しない・小規模農家(営利目的としない小規模なもの)⇒副業に該当しない相続で家業を継ぐ場合は承認が必要な場合もある。・地域活動への参加(営利目的でない実費や謝礼などは可)⇒各自治体の規定を確認のうえ許可を得てからの方が良い。・講演活動(継続的でなく、社会貢献性があり常識範囲内の謝礼は可)継続的に行う場合は承認が必要。・執筆活動(報酬を得なければ許可は不要。報酬を得る場合、信用、守秘義務、本業への専念を守り、所轄庁等に許可を得る必要がある。)職員の副業解禁に積極的な神戸市働き方改革を積極的に進めている自治体として有名なのが、兵庫県にある神戸市。テレワークの推進やフレックス制度、子育てと仕事の両立を支援する仕組みの整備など、積極的に働き方改革を行っています。その一環として、神戸市では職員が業務以外の報酬を得る「地域貢献応援制度」というものがあり、職員が業務で得た経験やスキルを、地域に貢献できるようにと、社会貢献性が高いと判断できるものであれば、企業で働き報酬を得る事を認めています。また、長引く昨今の状況を受けて神戸市役所では、民間企業に勤める人やフリーランスとして働く人に向けて、専門分野の知識を生かして副業として働ける仕事の場を提供しています。職員が民間企業で働き、民間企業やフリーランスの人が市の仕事を経験する。お互いの理解が深まる良い機会になるのでは、と思います。職員の地域活動参加をすすめる生駒市奈良県にある生駒市では、少子高齢化が進み自治体経営が厳しくなっていくことを見据えて、持続可能なまちづくりをすすめています。そのためには、市民と行政の相互理解を深めて協力していくことが大事だと考え、職員が公益性の高い企業で、報酬を得ながら働きやすくするための基準を設けました。今までは報酬を得ることに抵抗があって躊躇していた職員も、この整備によってスポーツクラブの指導員をしたり学校で出前授業を行うなど積極的に地域活動へ参加しています。生駒市も神戸市と同様に市民から、専門性の高い仕事の人材を副業やテレワークを認める形で採用しています。海外からの応募もあったようで、倍率は何と260倍だったとのこと。各地で副業への意欲がある人が増えていることが分かりますね。県全体で副業解禁に踏み切った福井県市区町村ではなく県全体で職員の副業を解禁した自治体もあります。福井県では、2019年10月に「福井県地域ビジネス兼業促進制度」を創設し、職員の兼業や副業に関する規定を明確化しました。地域貢献度の高い業種で、労働時間は1ヶ月に30時間以内、勤務日は週に3日以内などいくつかのルールを設けていますが、もちろん常識の範囲内であれば収入を得る事も可能です。副業をしたい職員は、事前に人事課長へ許可申請を提出して承認される必要があり、1年に1回は活動報告も求められます。県全体が一丸となって取り組むことで、街を盛り上げていこうという一体感が生まれるきっかけになりそうで良いですね。まとめ働き方改革によって公務員でも始める人が増えつつある副業についてご紹介しました。副業についてはまだ解禁の動きが出てからの歴史が浅く、働く側も、承認する側の経営陣や受け入れ先企業も、知識が少ないことが多々あります。せっかく働き方改革のおかげで時間ができて「副業をやりたい。」という気持ちがあっても、制約がありすぎて思うようにその意欲や労働力を発揮できないのでは、もったいないですよね。少子高齢化が進む日本において、貴重な労働力を無駄なく有効活用していくには、正しい知識を持ち本業に支障がない形で、副業の容認を進めていく必要があるのではないでしょうか。エンゲージメントを向上したいならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「企業にとって重要な人材育成4つの手法、3つの目的 」