「心理的安全性」という言葉をどこかで見聞きしたことはあるけど、その意味はよく分からない、と言う方も少なくないのではないでしょうか?副業や起業をする人が増えつつある日本では、組織の在り方も従来のような固定型からフレキシブルに変動する形へと変化しています。そんな変化する組織にこそ、心理的安全性が欠かせません。グーグルが公開している人事分析や調査結果などを公開しているサイト「re:Work」では、チームとして仕事を進めていく際に知っておきたい、効果的なチームの定義や要素について触れています。また、心理的安全性について提唱しているエイミー・C・エドモンドソン教授は「良く知らない人に発言したり突拍子もないアイデアを提案したり助けを求めるときにこそ、心理的安全性が必要」と述べています。今回は、グーグルのre:Workに学ぶ効果的なチームに必要な5つの要素と、心理的安全性の意義、エイミー・C・エドモンドソン教授の講演をもとに、今後の社会において、心理的安全性を高めることが必要な理由を書いていきます。エンゲージメントを向上したいならロコソルへ上手くいくチーム(組織)に必要な5つの要素グーグルが何年もの時間を費やして調査や研究を行った結果、チームにとって重要なのは「誰がチームのメンバーなのか」ではなく「チームがどうのように協力しているか」である、という結論に至りました。そして上手くいくチームの特性として下記5つの要素を挙げています。1.サイコロジカルセーフティー(心理的安全性)2.相互信頼3.構造と明確さ4.仕事の意味5.インパクト研究チームは、この5つのうち1.のサイコロジカルセーフティー(心理的安全性)が最も重要で、他の4つの要素の土台のような存在になるとしています。1.心理的安全性もしかしたら的外れかな、間違っているかもしれない、そんなネガティブに思えることでも「このチームなら大丈夫」と、信じて自分の意見を気兼ねなく発言できる状態。心理的安全性が高いチームのメンバーは全員がこのような状態にあって、疑問や質問、不安に思うこと、新しいアイデアがどんどん飛び交います。2.相互信頼チームのメンバーがお互いの仕事のクオリティや期日に対して信頼をしている状態。3.構造と明確さチーム内での短期的・長期的に明確な目標が設定してある。チームメンバー全員が、目標達成をするために必要な、自分の役割や目的を理解している。4.仕事の意味チームで取り組む仕事には自分自身のためにも意味がある、と思える。仕事の意味は家族のため、生活のため、自己実現のためなど、人によってさまざま。5.インパクト自分やチームのやっている仕事が組織の目標を達成することにつながっていることが客観的に理解できている。心理的安全性が全ての土台となっているこの5つの要素が全て備わっていると、効果的なチームだと言えますが、何といっても心理的安全性が一番重要かつ欠かせない要素だとグーグルの研究チームは述べています。確かに、どんなに知識やスキル面で優れたメンバーを集めて完璧なプロジェクト計画を立てたとしても、チーム内で一部の人だけが仕切って仕事を進めれば個々の役割や目標があいまいになるだろうし、「あの人は面倒だから大人しくしておこう。」「自分は下っ端で意見を言ってもだれも耳を傾けてくれない。」などと思う人がいたら、相互信頼も生まれません。まずは心理的安全性を高める=誰もが「このチームなら大丈夫」と安心して自分の意見を発言できるチーム作りが大切なことが分かりました。現代におけるチームの在り方もともと心理的安全性という言葉とその概念について述べたのはバーバードビジネススクールでリーダーシップや経営学を教えているエイミー・C・エドモンドソン教授です。こちらの動画で現代におけるチームの在り方や心理的安全性について、分かりやすく説明しています。見知らぬ人のグループをチームに変える方法(日本語字幕選択可):https://embed.ted.com/talks/amy_edmondson_how_to_turn_a_group_of_strangers_into_a_teamエドモントソン教授は、現代のチームの在り方をチーミングと呼んでいます。チーミングとは「Team on the sky=即興的なチームワーク」のことで、専門性や場所時間にとらわれず、人が互いに連携し協力すること。また教授は、チームとチーミングの違いについて、スポーツチームを例えに説明しています。スポーツチーム=チーム:ほぼ固定メンバーで構成される。共通の長期的な目的がある。同じ目的を達成するために相互依存関係にある。公園で作った即席チーム=チーミング:メンバーはその都度変わる。短期的、その場ですぐに完結する目的がある。お互いが自立している関係。これからの社会に心理的安全性が必要な理由このチーミングが重要な理由について教授は、年中無休のグローバルな事業活動が増えていることなどを理由に挙げていましたが、私は副業や起業する人にも、とても必要な考え方だと思いました。個人がいきなり大型の案件を請け、取引先もずっと同じで、1つの仕事だけに全精力を費やす、というやり方は難しいですよね。おそらく、複数のクライアントから小さな仕事を請け負い、平行してビジネスを進めていく、そしてまた新たな仕事を受注する、というスタイルを取る方が多いと思います。そんなときこそまさに、チーミングの出番です。先ほど触れたような、公園で作った即席チームのような動きが求められます。企業にも求められるチーミングそして個人に限らず最近では、企業でも新しい分野に参入したり、他の企業とコラボレーション企画をしたりと、変動するチームが職場内に複数存在していることも少なくないのではないでしょうか?先ほどのエドモントソン教授の動画の続きで、心理的安全性のことについても触れています。チームが上手く動くときには必ずあらゆる階層に正解が分からない、と自覚している謙虚なリーダーがいる。Situation Humility(状況対応型の謙虚さ)とCuriosity(好奇心)が働くと心理的安全性が生み出されるとのこと。良く知らない人に発言したり突拍子もないアイデアを提案したり助けを求めるのはちょっとためらってしまいますよね。そんなときにこそ心理的安全性が必要だということです。教授は最後に「他人のアイデアに興味を持つ、耳を傾けるということが大事。一人では成し遂げないことを実現するためには必要な考えです。」と講演をしめくくっています。「知らない」と言えるリーダーがもたらしたもの以前の職場で、私がとても尊敬していたリーダーがいます。その方はまさに、謙虚で質問上手なリーダーでした。あれこれチームメンバーに質問しては、深く関心を寄せ、知らないことははっきりと「知らない、教えて。」と言う。そしてときには反対意見もビシッと述べる。その無邪気で一見子供のように思える彼の立ち居振る舞いに、私を含め他のメンバーも安心して発言や質問をできるようになりました。おかげでチームはいつもにぎやかで、意見がたくさん飛び交っていたのを今でも覚えています。まとめ今回は心理的安全性について、グーグルの研究チームのまとめた効果的なチームに必要な5つの要素と、エイミー・C・エドモンドソン教授の講演から学ぶ、即興的なチームワークの重要性についてご紹介しました。変化が著しいこれからの時代においては、職場でも個人のビジネスでもさまざまなチームが流動的に活動するシーンが増えていくでしょう。そんな場面でこそ心理的安全性、つまり誰もが意見を気兼ねなく発言できるチームを作ることは、今後ますます企業にも個人にも求められていくと思います。隣に座った同僚とちょっとしたどうでもいいような話を気軽にできる。そんな「雑談のできる職場」で仕事をしたら、モヤモヤやイライラが減りそうだな。そう思うのは私だけではないのではないでしょうか。ロコソルはこの心理的安全性を育てるサービスを提供しております。エンゲージメント(相互理解)のある組織で生産性の向上を一緒に目指していきませんか?エンゲージメントを向上したいならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「モチベーションをアップする5つの方法。まずは自分自身から」