2019年4月から「働き方改革関連法案」が順次施行されることとなりました。スローガンとしては「働き手を増やすこと」「出生率をあげること」「労働生産性をあげること」が挙げられていますね。特にこの働き方改革の一連の政策の中で「残業時間の指示が厳しくなった」「労働時間を見直す必要が出てきた」と感じている従業員、企業の方は多いのではないでしょうか。ちなみに、原則では2019年4月から各業界で政策に沿った改革が進められていくのですが、早期の対応が難しいと考えられている「建設業」「運送業」「医師」など一部の業界には猶予期間が設けられています。今回はその中でも「建設業」について考えていきましょう。エンゲージメントを向上したいならロコソルへ建設業の実態は?労働時間は?先述の通り、建設業は政府からも他産業に対して5年後ろ倒しの2024年4月実現という猶予措置が取られています。その背景としては長い就業時間が挙げられます。月の労働時間平均は168.2時間で全産業平均労働時間の139.1時間と比較して約30時間ほど長くなっており、年平均にすると300時間も労働時間が長い環境です。就業人口構造もいびつであり、29歳以下が州人口全体で11%と「若い人がはいらず、辞めていく業界」となっています。一方でこの現状では建設業自体が立ち行かなくなるという危機感は感じており、建設業用のガイドラインである「建設業働き方改革加速化プログラム」を制定したり、日本建設業連合会が「週休二日実現行動計画」を作ったりなど、変化しようとする取り組みが行われています。では建設業での働き方改革実現に向けての弊害はどんなものがあるのでしょうか。建設業での働き方改革に向けての弊害建設業の働き方改革実現への弊害はいくつかありますが、その1つは「現場がある」ということでしょう。他産業と比較して特殊性が高いこととして、必ず「工事現場」が存在することが挙げられます。どうしても天候によって業務進捗に影響が出てしまいますし、実作業は現場で物理的に行われるためテレワークの推進が非常に難しい環境といえます。また、工事の実作業を行う職人は日給月給の給料体系の人も多く、「生活のために土日も働きたい」というニーズも発生します。これに対しては現場を閉所にしたり、公共入札においては週休2日をできる体制にしないと参加できなくするなど、運用・契約周りから根本的な改革が行われています。次に考えられるのは建設業のビジネスモデルです。基本的には発注者から特定の金額で工事を請け負い、なるべく早く、なるべく人工をかけずに工事を終えると利益が大きくなる仕組みとなっています。また、クライアントからは早期竣工が求められる産業特性もありました。このことからより早く現場を終えるために土日も現場を動かし、人員配置を切り詰めることによって生産性をなんとか担保しようとされてきました。しかし、現代ではこのように従業員へ負荷を大きくかけるやり方は若い方からも歓迎されず、限界を迎えているといえるでしょう。これに対して現在はi-constructionを中心としてICTの活用が本格化しています。それによって生産性を高めて企業としての採算を維持していこうとしています。アンドパッド社や助太刀社などはその代表的な例でしょう。レガシー産業であった建設業はIT化も遅れていましたが、その分市場としての白地も大きく注目されています。実はアメリカでは数年前に建設techのブームがあり、建設業に対しての新たなサービスが生まれていきました。最後に挙げるのは建設業に限ったことではありませんが、労働時間の削減を現場に丸投げしてしまう問題、働き方改革ハラスメントです。会社としては働き方改革の実現(≒長時間労働の是正)を行う必要があるため、各現場に指示を出します。しかし、具体的な方法論は乏しく数字だけ落とす、ということが一定数発生しています。働き方改革を進める上では業務量や役割分担など労働時間以外も見直していかないと実現は難しいものです。上記の契約や運用など仕組み面とICT活用といった業務見直しも含めて改革に挑戦している企業も少なくありませんが、現場では所長の裁量が多く、同じ会社でも現場所長によって仕事の進め方や体制が異なっているケースが多くあります。現場社員の定性的な声も聞きながら経営トップと現場で足並みをそろえて働き方改革を進めていくことも大切と言えるでしょう。まとめ~働き方改革への取り組み~建設業の働き方改革についてご紹介しました。これまで長時間労働が当たり前であったり、3Kと言われていたりした業界でしたが、今回の働き方改革においては業界一丸となって取り組んでいる様子がうかがえます。週休二日実現行動計画の名簿にもスーパーゼネコン、準大手中堅ゼネコンの経営トップ層が参加をしています。今後の建設業では働き方改革をきっかけにして就業環境や仕事の進め方に大きな変化が生まれるでしょう。これまでの長時間労働が是正され、ワークライフバランスが整うなどポジティブな面もあれば、既存のやり方が通用しなくなるネガティブな面もあるはずです。実務に携わる従業員にはストレスがかかるはずですので、是非状態の把握、相談をしながら働き方改革を進めていきましょう。ロコソルは、社員のストレスを軽減し、本部と現場の連携を促進するサービスをご提案しております。エンゲージメントを向上したいならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。『精神障害の労災が増えている。パワハラ防止に本当に必要な対策は? 』