新型コロナウィルスの流行により「テレワーク」は誰でも知っている一般的な言葉になりました。しかし、実際の運用となると特に地方や中小企業ではまだ進んでいるとは言えません。今回はテレワークを進める上で中小企業に見られる課題と対策について説明します。現在、ソーシャルディスタンスのためテレワークも導入が叫ばれています。国も助成金や補助金など支援をして推進をしており、事実、東京を中心に大企業では働き方改革の推進とともに実装が進み、「完全在宅勤務」や「一部在宅勤務可」の環境が増えています。今回はテレワーク(在宅勤務)の進まない地方の現状や原因を考え、うまく導入していくポイントについてもご紹介していきます。職場コミュニケーションにお悩みならロコソルへテレワーク導入率の実態(中小企業、産業別など)※令和元年通信利用動向調査報告書令和2年10月に総務省の発表した「テレワークの最新動向と総務省の政策展開(元データは令和元年通信利用動向調査報告書)」によると、テレワークの普及率には企業規模や業種によって大きな差があることがわかります。企業規模の観点では従業員2000名以上のいわゆる大企業では導入率が60.8%となっており、それに対して、従業員数300名未満の中小企業では15.1%と大きくギャップがあります。導入している業種に関してもメディアリテラシーの高い情報通信業や大企業の多い金融・保険業は導入率が高いのに対し、建設業や製造業、卸・小売業、サービス業、運輸業などは導入率が20%強~10%台と低い数値となっています。地方の業種構成としても建設業や製造業の業種比率が高かったり、中小企業が多かったりすることから、おのずと地方のテレワークの実施率は低い水準となります。東京などの首都圏ではリモートワークが「良く見聞きする」レベルの浸透率ですが、地方ではまだまだ「在宅勤務ができるなんて珍しい」という温度感かもしれません。中小企業や業種によってテレワークが進まない原因や課題次に、地方で中心を占める中小企業や特定業種がどうしてテレワークが進まないのか、その課題について考えていきましょう。まず、業種ごとの側面については「物理的にテレワークが難しい」という事例が多く見受けられます。例えば製造業、建設業、サービス業、運輸業の現業社員は実際に人が現場で対応して成立する仕事ですので、在宅勤務には無理があります。また、デスクワークの間接人員でも、社内システムがオンプレミス型(自社内にサーバーがある)のため出勤しないとシステムが使えず仕事にならないという声も聞かれます。次に中小企業における原因や課題についてです。こちらも中小企業特有の課題が存在しています。・マルチタスクで業務を行っている中小企業では大企業と比較して社員数が少ないため、1人の社員が複数の部署の業務を行担うことはままあることです。そのため、業務分担が難しく在宅ですべての業務に対応をすることができないケースもあります。・IT知見の専門家がいないこちらも大企業と中小企業の差となりますが、テレワークを導入するにあたってリードする人は基本的には社内ITの担当者となります。しかし、中小企業ではIT担当を独立して雇用していることも少なく、テレワーク導入の為だけに新たに採用をするやり方も現実的ではありません。結果として経営陣がテレワーク導入を決意しても誰に相談をしたらよいのか、どのように推進するかのやり方がわからず、中々うまくいかないということになってしまいます。・職種間での社員理解が必要次の対策の際にも言及をしますが、どうしてもテレワークができる職種、できない職種が発生します。同じ会社でも職種ごとの差ができてしまいますので、中小企業のように社員間が近い環境であれば、どうしても社員ごとの理解や配慮、コミュニケーションがより大切になってきます。円滑に導入するにあたっての判断が難しいケースも存在するでしょう。こちらの関連記事もご覧ください。「中小企業のテレワーク導入の実態と課題」テレワークの進まない中小企業への対策上記のような原因や課題が考えられる中で、テレワーク導入を進めるための対策をご紹介します。・職種を分けてスモールスタートから、完璧を追い求めないこと中小企業や製造業においてもリモートワークの導入を実現している事例は存在します。その多くは「できるところからやる」ところが主で、はじめから完璧に幅広い業務での導入はしていません。製造業であればまず営業やコーポレートスタッフから、現場に近い領域でも見積もり業務から、といったやり方です。社内システムがオンプレミス型の場合は、在宅から社内システムにアクセスできるリモートデスクトップを活用する方法があります。最近はグーグルクロームなど手軽に利用できるものもでています。グーグルクロームリモートデスクトップhttps://remotedesktop.google.com/?hl=ja特定職務から導入をするため、社内の業務フローや役割分担を事前に整理する必要もあり、生産性を上げられる利点もあります。一方でどうしても職務上テレワークができない業務もあるため、社員の不満が高まらないよう企業から社員への説明は不可欠と言えるでしょう。・国やコンサルなど外部へ相談をする社内に専門人員がいないことはやむを得ないことですので、まずは誰か担当を決め、具体的なやり方については外部へ相談をしましょう。テレワークの普及は日本の働き方改革に大きな影響があり、国としても積極的に支援をしたいと考えている事柄です。総務省の運営するテレワークデイズというポータルサイトに様々な国や機関の支援窓口が記載されています。https://teleworkdays.go.jp/概要としては無料でテレワークについてのコンサルティング、相談をできる「テレワークマネージャー事業」や「テレワーク・サポートネットワーク」、「テレワーク相談センター」などです。また、助成金についても地方ごとで対策をしていますし、インフラ整備に必要なセキュリティ関連のガイドラインも各所でまとめられています。担当者の方は不明点も多く大変かと思いますが、相談窓口のバリュエーションは多いので、まずは相談をしてみる・聞いてみる、のも手ではないでしょうか。テレワークを導入するにあたっての導入手順やセキュリティ対策、活用できるツールなどの紹介があると思います。中小企業もテレワークのメリットを得るまだまだ中小企業ではテレワークの導入は進み切ってはいませんが、進めるためのやり方や対策は多く用意されています。今後のコロナウィルスの状況によってテレワーク導入のひっ迫度は変わってくるかもしれませんが、「在宅勤務可」と求人票に書くだけで募集人数が増えたという事例もあります。会社を変えることは大変ですが、テレワークはやり方次第で生産性を向上することができますので、一度ご検討してみてはいかがでしょうか。そうは言ってもやっぱり職場のコミュニケーション不足、ストレスによるメンタルリスクの増加等々、気になることが多くて・・・。そんな声もよく耳にします。上司としてはテレワーカーに「仕事をさぼっているのではないか?」と疑念を持つこともあるでしょう。一方、テレワーカーは「見られていないこと」による不安があります。それを解消するにはICTツールを活用して情報共有していくことが欠かせません。ただ一般のICTツールは業務用途では使えますが、テレワーカーの気持ちや考え・状態といった部分には踏み込みにくいのも事実です。ロコソルのアプリには、例えリモート環境下でお互いの顔が見えなくても、本人が自分の気持ちや考えを発信しやすい工夫があります。問題を見落とさず、早期に対策を取ることができます。職場コミュニケーションにお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「情報共有しない上司?社内で情報共有を図る目的と方法」