はじめに近年大人の発達障害という言葉をよく耳にするようになりました。実は診断されていなくても特徴にあてはまる人はけっこういるらしい。そんな話も聞きます。この記事では、なんとなく聞いたことがあるけどよくわからない大人の発達障害の種類と特徴について取り上げます。後半では発達障害の方が職場で陥りやすい問題や周囲の対応について触れていきます。社員のメンタルヘルスでお悩みならロコソルへ大人の発達障害とは?発達障害は、先天的な脳機能の問題により起こると考えられています。育った家庭環境の問題でも本人の努力の問題でもありません(もちろん全ての人がそうであるように影響はありますが)。障害の区分として精神障害と同じように分類されるため、精神面のストレスや過労等により発症すると勘違いされることもありますが、そういったこともありません。じゃあなぜ、先天的な問題なのに大人になってからわかったのか。大人になるまで発達障害と診断されなかった人は、その特性の程度が軽かったり、それを補う能力を持っていたり、周囲のサポートがよかったりしたことで、問題が表面化しにくかったのかもしれません。ちょっと変わってる、個性的な人。そんな風に思われていても、学生時代にはそれほど問題なく過ごせていた人も多いと思います。しかし、大人になるとそうもいきません。行う仕事の量も増えますし、人間関係も複雑になります。社会人として責任ある言動も求められ、それまでよりも困難なことが多くなります。その結果、二次障害として抑うつや身体症状が出現し、それをきっかけに実は自分は発達障害だった、と知ることもあるようです。発達障害の種類と特徴では、発達障害とはどういうものなのでしょうか。大まかに次の3つに分類されます。1.自閉症スペクトラム症(ASD)いわゆる典型的な自閉症に加え、アスペルガー症候群がこれになります。一番の特徴はコミュニケーションの難しさです。「発達障害」と聞いた時に、多くの人が最初にイメージすることなのではないでしょうか。私たちは相手と対面で話す時に、言葉だけでなく、相手の顔を見てその表情や身振りを見ながらやりとりします。しかし、ASDの方はこういったやりとりが苦手です。なぜなら、そういう「相手を見てればそんなのわかるでしょ」が読み取れないからです。いわゆる「空気読めよ」ができないと言ってもいいかもしれません。それ故に、社会でよくある暗黙の了解やあいまいなルールの理解は難しくなります。そういう「空気の読めない人」として集団の中で孤立してしまいがちです。またASDには、「このやり方しかできない」といったこだわりが非常に強い面や、音や光に異常に反応する過敏な面もあります。2.注意欠如・多動症(ADHD)この言葉からイメージするのは「集中力がない」「落ち着きがない」といったことではないでしょうか。まんざら間違いでもなく、何かをやっていても他が気になるとそちらに手を付けてしまって全部の作業が中途半端になる、ということがよくあります。一方、明日も仕事なのにゲームに夢中になっていたらいつの間にか朝になっていた、というように制御がきかない部分もあります。一言で特徴を言うのはなかなか難しいのですが、気がそれやすく衝動的といった感じでしょうか。ADHDの方は順序立てて作業したり、整理整頓や時間管理したりすることが苦手なので、忘れ物や遅刻が多い傾向にあります。想像していただければわかると思いますが、色々な仕事をあちこちから渡されると一時的に自分の机の上はぐちゃぐちゃになりますよね。また、あれもこれも気になるので、「まとめて」「簡潔に」話をすることも難しくなります。一般的にはそれを整理して作業を進めていくのですが、それができないまま作業を進めるとどうなるか、安易に想像がつくと思います。日常生活が常にその状況だとすると、本人にとっても辛いですよね。3.学習症(LD)LDでは「読む」「書く」「計算する」などが極端に苦手となります。全く読めない、書けないということではなく、その程度や現れる症状も人によって異なります。日本では学校の授業でつまずき、子ども時代に診断されるケースが多いと言われていますが、LDの認知度が低かった時代もあり、大人になってから診断されることもあるようです。発達障害の「特徴」に近いものは誰にでもあるここまで発達障害の特徴について触れてきました。もしかすると、そんなの私もあるよと思っていただけた部分もあるかもしれません。そうなんです。発達障害の方が持つ特徴は「私にもある」と共感できる部分もたくさんあります。ただ大事なことは、これは「障害」であって本人の努力の問題ではないということです。「人づきあいが苦手」「片づけは嫌い」という人はたくさんおられると思いますが、発達障害の人は、「苦手」「嫌い」のレベルではなく、それによって生活に支障が出る状態なのだと思ってください。だからこそ、社会で生活していくためには周囲の配慮が必要です。まずは発達障害の名前だけでなくその特徴を知り、診断されているかどうかに関係なく周囲の人をみていただけると、また違った気づきがあるかもしれませんね。社員のメンタルヘルスでお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「大人の発達障害とは?仕事で起こりやすい問題と行いたい対応」