うつ病と診断されたら、多くの場合休職を勧められます。しかし、ただ自宅で横になっていれば良くなるというものではありません。この記事では、当事者の方がどのようなことを心掛けて休みを過ごせば良いのか、また、それを支える家族や職場の方々がどう考えて付き合えばいいのかについて書いていきます。社員のメンタルヘルス不調でお悩みならロコソルへうつは心の風邪って本当?うつ病に関して良く言われる言葉として、「うつは心の風邪です。頑張らずにゆっくり休みましょう」という定番の文句があります。私はこの文句には疑問を感じます。これでは病気を知らない人にうつ病に対する誤解を招いてしまうのではないかと感じています。まず心の風邪についてですが、確かにうつ病は風邪のように誰でもなり得る病気という点では同意ですが、風邪のように薬を飲んで何日か休んでいれば治るというような甘いものではありません。頑張らないことについては、急性期はほとんど気力がない状態ですので当てはまります。しかしその後の長い回復期についてはかなり頑張る必要があります。回復するためには、頑張らない=気を楽にしてリラックスするということももちろん必要ですが、頑張る=自ら主体的に回復するためのアプローチに取り組むことも絶対に必要です。ただ頑張らずに休んでいれば回復する、治るというものではありません。まあそもそも気を楽にして休むということ自体、うつ病の方にとっては結構難しいことなのですが。うつ病から回復するには色々な面で自分の見直しを図り、努力が必要です。でも風邪のように治る手応えを感じられないので本人は落ち込みます。いつになったら治るんだろうか、もう治らないんじゃないかと。回復のプロセスは長い期間、忍耐を持って、専門家のアドバイスを聞きながら自分なりのアプローチを色々と試す必要があると思います。日常生活の管理を大事に健康な人でも日常生活の管理に気を配ることは大事ですよね。規則正しい生活習慣、食事、運動など。現時点でうつ病に苦しんでいる人は、健康な人以上に日常生活の管理を大事にするのは当然と言えます。病気になったことをきっかけに今までの生活習慣に問題がなかったか、見直す良い機会です。 しかしありがちなパターンとして、病気になって休んでいる状態でも重要性を理解していないのか、時間が有り余っているのか、ヤケになっているのか、一向に生活習慣が改善されず、ゴロゴロ寝たりネットサーフィンをするばかりだったり、過度にお酒を飲み過ぎたりというような残念な休み方をする人もいるようです。そして休職期間が終わるから、無職期間が長いからと焦って復職や就職しても、ほとんど動いていないランナーがいきなり思い切り走ってもダウンしてしまうように、良い結果になるとは思えません。 休んでいる間にある程度の頑張りを効かせて継続的なトレーニングをしていく必要があります。周囲の人はどう関わるべきか?一方、周囲の人(親、配偶者、友人、職場関係者など)は、今迄の内容と逆のようですが、当事者に対して頑張れとは言わない方がいいと思います。なぜなら、当事者は既にものすごく頑張っているからです。 うつ病の苦しみは周囲からなかなか理解され難いですが、自分の中で普通の事が普通にできない、当たり前だった事が当たり前にできないということが一つあります。なんとか病気になる前のようにやろうと努力するのですが、それができないことにすごくもどかしさや落胆を感じます。でも何とかしよう、したいとは思っています。もしそういう姿勢が見えなくて自堕落な生活を送っていたとしても、それはトライしたこともあるけれど失望や悲しみが多すぎて諦めてしまっているのではないでしょうか。どうせ無駄だと。防衛本能と言えるのかもしれません。 支援者ができることはその頑張り、プラス面をきちんと認めてあげることだと思います。「頑張ってるんだね」と。心から伝えれば当事者の心に届くはずです。当事者は充分すぎる位に傷つき、思いやりの心に飢えています。その上でもし何かこうして欲しいというものがあれば、「○○と思うけど、どう思う?」と提案してみてはどうでしょうか。命令・指示ではなく、提案で。 決断して、行動を起こせるのは当事者しかいません。病気を治す、または病気と共に生きても幸せを掴めるのは当事者本人しかいないのですから。社員のメンタルヘルス不調でお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。『うつ病患者が苦しむ「休めない」って何?心を休めるためにできること。』