会社という組織の中では上司・部下という関係性があります。近年ではその指導方法に大きな変化がみられるようになりましたが、この構図そのものは昔から変わりません。でも、年齢を重ねて昇進すれば勝手に良い上司になれる。うまく指導できるようになる。そんなことはありませんよね。多くの方が、少しずつ勉強し経験を重ねて、ようやくうまくマネジメントできるようになるのではないでしょうか。長い間、現場で自分の技術・技能を活かして仕事をしてきた人が、急に部下の指導や評価をする役割を与えられても戸惑うのは当然かと思います。しかし、毎年のように多くの新入社員を採る大企業と違い、中小企業では社員の年齢層のバランスが悪く、急に部下を持って育成する立場を担ってもらわなければならない状況も出てきます。この記事では、そんな時にまず心掛けてもらいたいことについて書いていきます。社員の力を引き出すならロコソルへマネジメントで最初に心掛けたい大切なことは実際にマネジメントする立場の方々は「なかなか部下の考えていることがわからない」「色々言うとパワハラって言われそうで難しい」などと話されている印象を持ちます。そう、人と関わるって非常に難しいことですよね。「聞く」と「聴く」。この違いをご存じの方も多いかと思います。『類似国語辞典』(角川書店)によると、「聞く」は音や声を耳に感じ認めること、「聴く」は聞こえるものの内容を理解しようと思って進んで聞くことだそうです。ただ音として耳に入るか、その内容を意識して考えながら聞くか、という違いですね。マネジメントで大切なのは、実はこの「聴く」です。少し専門的な言い方では、これを「傾聴」と言い、カウンセリングやコーチングで使用される技法の1つです。傾聴とは傾聴の中でも、聴き手が能動的にそういう場を設けて話し手をより深く理解しようとするものを「積極的傾聴」と呼びます。これは、アメリカの心理学者カール・ロジャースによって提唱されました。ロジャースは、聴き手が傾聴するための3要素として、「受容」「共感」「自己一致」をあげています。1.共感相手の話を善悪や好き嫌いの評価を入れずに受容して聴く。相手の話を否定せず、なぜそう考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。→具体的には、例えば、相手が反社会的な内容のことを話したとしても、まずは否定せず、「なぜそのようなことを考えるようになったのか」に意識を置いて聴く。2.受容相手の話を相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。→具体的には、相手の立場で見るとどうかを想像し、自分がこれまでに同じような気持ちになったことを思い出しながら聴く。3.自己一致聴き手が、相手に対しても自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。わからないことをそのままにしておくことは自己一致に反する。→具体的には、話し手を気遣いすぎず、話の内容がわからなければ確認すればいい。よくわからないのにわかったような態度をとることは、自分も相手のことを聴けたことにならないし、話し手に対しても不誠実である。*「自己一致」はもう少し理解が難しい概念なのですが、今回はこの説明に留めます。上司も部下も成長するためにでは、実際にはどのような行動をとって聴けばいいのでしょうか。まずはあまり難しく考えず、とにかく部下の話を聴くんだと決めることです。部下の話を聴いていると、それはおかしいんじゃないか、アドバイスしてやらないと・・などなど色んな思いが渦巻いてきてストレスを感じるかもしれません。それをグッとこらえて、部下が話し始めてくれたら5分でいいので先ほど述べた「受容」と「共感」でしっかり聴いてみてください。ここには上司であるあなたの考えや価値観は必要ありません。それは一旦、脇に置いてみましょう。まずは自分は聴き手なんだということを意識し、相手にできるだけ自分のことを話してもらうことが大切です。部下への理解が深まるはずです。実際にやってみると、聴くことがいかに難しいか、今まで自分ができていなかったことに気づくのではないでしょうか。それに気づければ、上司としてスキルアップしたと言えるでしょう(気づかない人は、最初からこの記事が必要ない人か、自分が見えていない人かのどちらかです)。まとめここまで、マネジメント経験の少ない上司にまず心掛けてほしい「傾聴」について書いてきました。上司が傾聴を心掛けることで、・部下が意見を言いやすくなり、上司と部下のコミュニケーションが活性化する・部下が相談しやすくなり、仕事や部下本人の問題が早期発見でき、仕事のパフォーマンス向上につながるといったメリットが期待できます。もちろん始めたその日からすべてうまくいくわけではありませんが、傾聴の意識を持って関わっていくうちに少しずつ変化が起こってくるでしょう。社員の力を引き出すならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。『従業員50人未満の企業でもストレスチェックを実施するメリットとは?』