少子高齢化のスピードが加速し、多くの企業で人材不足が深刻化しています。また入社3年以内に会社を辞める人も少なくなくありません。このような背景から、企業が抱えている課題は人材の確保だけでなく、人材を定着させることにも広がってきています。そこで今回はこちらの3つをご紹介します。・日本の離職率の現状・どんな理由で人は会社を辞めてしまうのか・人材を定着させる6つの方法ご自身の会社で人材定着のためには何が必要か、と施策を立てる際の参考になさってください。社員が辞めるのにお悩みならロコソルへ人材定着と日本の離職率の現状引用元: 平成29年3月新規学卒就職者の離職率(厚生労働省)厚生労働省によると、2017年3月に卒業して新卒入社した人の3年以内の離職率が高卒で39.5%、大卒で32.8%でした。新卒入社後3年以内の離職率について、2010年以降大きな変動もなく横ばいの状態が続いていますが、依然として入社後3年以内に3割程度の人が辞めていく傾向が続いています。引用元:令和2年雇用動向調査 図1-1 入職率・離職率の推移(厚生労働省)また厚生労働省の雇用動向調査によると、2020年の離職率は14.2%でした。離職率についても2010年以降は、14%~15%前後で落ち着いています。数値で見るとあまり大きな変動はありませんが、やはり一定数の離職者がいる現状が続いており、なかなか人材が定着しない企業は少なくありません。また、優秀な人材はより良い環境を求めて転職していく傾向もあり、辞めてほしくない人が辞めることで、人材不足にもつながります。離職の理由と人材定着6つの方法人材定着の目的は、ただ従業員をその会社で長く働かせるだけではありません。従業員が会社で自分の能力を発揮し、プライベートとのバランスが取れた状態で長く働き続けてもらうような施策を練ること、それこそが人材定着のマネジメントとして大事なポイントです。厚生労働省による「平成30年若年者雇用実態調査の概況」や先述の「新規学卒者の離職率雇用動向調査」をもとに、離職の主な理由を5つ挙げ、それぞれの対策方法をご紹介します。①労働条件や休日・休暇の条件に対する不満近年ではワークライフバランスという言葉もよくメディアで取り沙汰されるようになりました。仕事だけでなく、家族と過ごしたり趣味に励んだりするプライベートの時間も充実させたい、と思っている人は多いです。ノー残業デーを設ける、有給休暇の計画的付与制度を活用するなどして、ある程度は会社側から積極的に時間外労働の削減や休暇を促進するのもいいでしょう。近年の働き方改革で上記を実践している企業は増えました。しかし、社員の働きやすさは上がっても、企業の生産性を下げてしまっては施策の意味が薄れてしまいます。机上の計算通りに生産性を上げることは難しいですが、短時間で成果を上げる知恵を社内で出し合う必要があるでしょう。②給料に対する不満人が働くということは、自分の時間やスキルを提供することです。自分が差し出したものに対して、それに見合うだけの報酬が支払われていないと感じたら、従業員の心は会社から離れてしまいます。中小企業では、評価基準があいまいであったり、経営者の独断であったりすることもあります。成果が公平に評価されるような制度を整え、どんな成果をあげたらいくら報酬があがるのか、と明示することも大切です。給料を上げる以外に、福利厚生面を充実させるというのもひとつのアイデアかもしれません。ただ、現実には給料を上げたくても上げられない経営者も多いと思います。当然給料は多いに越したことはありませんが、必須の要素ではありません。むしろ社員にとっては評価基準のような公平性・納得感のようなこと、そしてこれから挙げる③以下のことの方がよほど重要なのです。③人間関係の悩みフルタイム勤務者であれば、1日の約1/3は会社で過ごすことになります。その時間をどんな人と、どのような関係性を築いて過ごすか。これは社会人生活において、かなり重要な部分に感じる人は多いようです。仕事で嫌なことがあっても、隣に座った人とたわいもない雑談をするだけで心が軽くなった、また明日から頑張ろう、と思えた。誰しもそんな経験が一度くらいはありますよね。コミュニケーション不足を解消するためにも普段から、雑談のしやすい職場作りを心がけましょう。また人間関係の悩みは、上司や同じ部署の人には打ち明けづらく感じる人もいます。メンター制度を取り入れたり、部署を越えた交流の場を設けたりして、従業員が人間関係で悩みを気軽に相談しやすい環境を用意しておくのもおすすめです。雑談のしやすい職場作りや心理的安全性について、こちらの記事も参考になさってください。「グーグルに学ぶ職場の「心理的安全性」。変動する社会にこそ必要な理由」④自分の能力や個性を発揮できなかった夢や希望を持って入社しても、学生時代や前職でせっかく培ってきた自分の能力が発揮できず、辞めてしまう、というケースもあります。生きていくために働いてお金をもらうことも大切ですが、仕事にやりがいを求めている人は多くいます。対策として従業員の教育制度を整えることや、キャリアプランの形成が考えられます。キャリアプランは従業員が主体となって形成することで、5年後、10年後この会社でどのように働いていたいのかイメージしやすくなり、人材の流出を防ぐ役割もあります。中小企業の場合、年齢層に偏りがあり、若い社員にとって同期や年齢の近い人が少ないといった企業も多いでしょう。その場合は、企業団体でのつながりを利用して他企業と合同で研修や交流をするなど、若手が刺激を与えあう場作りも大切です。⑤多様な働き方に対応してくれる企業でなかったこの回答は一見、人材定着の話とは矛盾しているように思えますが、私は密接に関係していると捉えます。なぜなら昨今、日本でも働き方が多様化している時代です。産前産後に働く女性や、育児に積極的に参加する男性も珍しくありません。そして、副業や起業をする人も徐々に増えています。人材定着というとどうしても、いま会社に居る従業員を何とか辞めさないことと思いがちですが、多様な考え方や働き方を受け入れることも、人材定着につながる大事な要素だと思います。週3、4日勤務や副業、テレワークを容認することで、離職を思いとどまる従業員がいるかもしれません。また今後は1つの分野を極めた人材が、複数の企業で活躍することが、ますます増えていくでしょう。社内でも部署や事業所のように従来固定されていた枠を越えてチームを作ったり、外からの人材を交えたりしてプロジェクトを進める機会を設けて、流動的な組織作りに慣れておくことをおすすめします。⑥そもそも採用が間違っていたこれは元も子もない話かもしれませんが、とても大切な要素だと思います。自社の文化に合わない人を採用してしまうと、なかなか定着に至らず、結局採用・育成を含めたコストが無駄になってしまいます。人手不足の現状はありますが、特に中小企業の社員定着は社長と合うかどうかで決まる要素が大きいので、採用時にしっかり社長の思いや自社のビジョンを候補者に伝えることが大切になります。まとめここまで人材を定着させるための方法をご紹介しました。従業員が仕事もプライベートも充実し、心身ともに健やかな状態で長く勤めてもらうことが、従業員の満足度を向上し、人材定着につながると思います。ご自身の会社でも人材を定着させるために必要なことは何か考え、取り組んでみてはいかがでしょうか。社員が辞めるのにお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「マネジメントは難しい。気を遣っているのになぜ部下のモチベーションが下がるのか」