終身雇用が当たり前だった時代と比べ、転職はもちろん、多様な働き方が選べる現代では、社員の所属意識が希薄になり、会社に事なかれ主義の人が増えていませんか?しかし、「自分ごと感」を持たずに仕事をする社員ばかりの会社は衰退の一途をたどると言っても過言ではないでしょう。この記事では、いわゆる「事なかれ主義」が生み出す問題、どうしたらそれを変えていけるかについて書いていきます。エンゲージメントを向上したいならロコソルへ「事なかれ主義」とは?実用日本語表現辞典によると、事なかれ主義とは、「事を荒立てて波風が立つことのないよう穏便に取り計らおうとする人、とりわけそのために問題や面倒から目を背けるような消極的な姿勢をとる人」を意味する表現だそうです。要するに、一見寛容で平和的だけど、実際には必要な変化であっても見て見ぬふりして行動しない人ということですね。人とぶつかってばかりでトラブルをまねく人も困りますが、こういった消極的な態度もマイナスに働くことが多いといえるでしょう。例えば、ミーティングで意見が対立した際、「プロジェクト全体のことを考えて、今回はいったん引いておこう」と相手の意見を容認する。人と関わる中ではこのようなことも必要です。しかし、「自分の立場を守りたい」「厄介なことに巻き込まれたくない」といった利己的な理由で相手に合わせる、そもそも自分の意見すら言わないというのは、事なかれ主義だと言わざるを得ないでしょう。働き方改革の悪影響で、自分の与えられた仕事をすれば良い(定時内で)とドライに割り切っていて、仕事に対する熱量が不足している、組織全体のことは考えない社員が増えていれば要注意です。職場で事なかれ主義が生み出す問題では、事なかれ主義はどのような問題を引き起こしてしまうのでしょうか。①ミスやトラブルの発覚や対応を遅らせてしまう事なかれ主義は、「自分さえよければいい」という考えです。もし「あれ?」と思うことがあってもそれを突き詰めたり報告したりすることをせず、放置してしまいます。その結果、小さなミスであればすぐに修正できたのに、ここまで大きなトラブルになってしまったということが起こります。会社は時間も労力も浪費するだけでなく、信用も失いかねません。②職場の雰囲気を悪くする仕事はもちろん自分の持ち分というのがありますが、基本的にはチームで行っていくものです。つまり、自分ひとりで会社をまわしているわけではなく、色々な人が関わって事業が行われています。それなのに、「面倒なことは嫌」と自分が放置するということは、誰かにそのしわ寄せがいくということです。そんな状態の職場がよい雰囲気になるはずがありませんよね。なぜ事なかれ主義の人がいるのか?「そんなの本人の性格の問題でしょ」と思われる方は多いかもしれません。もちろんそれもあると思います。しかし、多くの事なかれ主義は職場の環境に依存しているのです。つまり、もともとの本人の資質の問題以上に、職場環境が事なかれ主義を作り出してしまったともいえるのです。次のようなことが職場で起こっていないか、振り返ってみてください。①問題点を指摘したら同僚から陰口を言われて嫌な思いをした。②トラブルが起きた時、みんなが躍起になって犯人捜しを始めた③問題解決に一生懸命取り組んだのに評価されず失望した①では、「会社のために」「みんなのために」と思って声を挙げたにも関わらず、嫌な思いをしています。こういう経験をすると、「声を挙げたら損をする」と学習し、その後は事なかれ主義に転じやすくなります。②は、トラブルが起きた時の険悪な雰囲気を経験し、自分はこんな目にあいたくないとの思いから事なかれ主義になってしまうパターンです。③はやりがいを感じられないことで仕事をする目的が見えなくなり、「どうでもいい」という投げやりな態度から事なかれ主義に陥ってしまいます。このように、・意見を言った方が損をする・険悪な雰囲気で委縮してしまう・この職場で(組織の一員として)働く目的が見えないといったことがあると、その職場の中で事なかれ主義の人が作られてしまうのです。職場から事なかれ主義を遠ざけるためにはでは、事なかれ主義を職場で作らないためにはどうしたらいいのでしょうか。評価の問題まず大切なのはミスを責めないことです。「失敗がバレると評価が下がる」というプレッシャーが強くある状態では、必要以上にミスを恐れる社員が増えてしまいます。できることなら、評価の仕方を減点方式ではなく加点方式に変えてみてください。この評価の考え方は、事なかれ主義の予防に大変有効です。また、「自分さえよければいい」という利己的な考え方を防ぐためには、チームの成果を個人の成果とする仕組みを作ることです。そうすることで、自分の評価のためにチームの利益を考えるようになりますし、それが結果的には会社の利益を考える視点につながります。自己中心的な視点を変えていくことで、事なかれ主義を予防することができます。チーム環境の整備言いにくいことを言ってもらうためには、「言っても大丈夫」「自分は責められない」という安心感が必要です。職場でこの安心感を生み出すために重要なのが、心理的安全性です。心理的安全性とは「チームメンバーが臆することなく発言・行動できる状態」のことを指します。グーグルの研究チームがまとめた「効果的なチームに必要な5つの要素」の中で最も重要な概念として注目を浴びました。企業が成長していくためには、一緒に働く社員同士、そして社員と会社の間に信頼関係が不可欠です。ただし、心理的安全性の向上は、それ自体を目的としてもうまくいきません。日々の企業活動、社員の行動の中から少しずつ築かれるものですが、一つ、現場リーダーの姿勢は大きな影響があります。例えば、今日の話で挙げると、「この職場で(組織の一員として)働く目的が見えない」と感じている組織の中で、現場リーダーとメンバーが「働く目的」を話し合う機会を持ってはいかがでしょうか?現場リーダーが格好をつけずにネガティブなことも含めて自分の思いを言えば、そして、そこから出てくるメンバーの思いを否定することなく聴くことができれば、そのチームの心理的安全性は確実に上がります。エンゲージメントを向上したいならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「企業にとって重要な人材育成4つの手法、3つの目的」