近年、職場でのさまざまなハラスメントは、ニュースやSNSで取りあげられるなど、社会的な問題になっています。ハラスメントとひと言で言っても、その種類は多岐にわたります。今回は、2023年最新のハラスメントのうち職場で起きやすそうな6種類とパワハラ、セクハラ、マタハラの3種類をご紹介します。ハラスメントに関わる法律にも触れています。企業の経営の方、人事に関わる方はご自身の会社での対策を考えるヒントになさってください。職場コミュニケーションにお悩みならロコソルへハラスメントの種類2023年最新版ハラスメントが注目されるようになり、その種類は年々増えていますが、一般社団法人日本ハラスメント協会では、特に職場で起こりそうなハラスメントとして39種類を挙げています。そのなかでも今回は、近年ニュースやSNSでよく話題になっている6種類のハラスメントを紹介します。新型コロナウイルスに対する考え方は人それぞれです。自粛生活やワクチン接種など、自分と違う捉え方の人に攻撃的になる、集団で嫌がらせをするようなことがないよう、気をつけたいですね。またリモートワークの推進によってWeb上でのやりとりの機会が増えた企業も多いと思います。Web会議システムやチャットでのやりとりでは、直接顔を合わせているときよりも相手に誤解を与えやすいので、発言内容や言葉選びに気を付けましょう。私が個人的に気になったのは「ハラハラ(ハラスメントハラスメント)」です。近年ハラスメントに対して世の中が少し過敏になり過ぎていると感じることもあります。ハラスメントを意識しすぎるあまり、必要以上に職場での会話や交流の場が減ってしまうことがないよう、バランスを取りながら対策をとっていきたいですね。こちらの関連記事もご覧ください。「パワハラの訴えは「心理的安全性」が確保されていない職場で起きる」厚生労働省によるハラスメントの定義厚生労働省では、委託事業として「あかるい職場応援団」というポータルサイトを開設し、職場のパワーハラスメント問題の予防や解決に向けた発信を行っています。「あかるい職場応援団」では、職場で起きうるハラスメントとして大きく以下の3つを挙げて解説しています。【パワハラ】パワハラについては、大きく6種類に分けられます。①殴る、蹴る、物を投げるなど身体的な攻撃②相手を必要以上に叱ったり責めたりする精神的な攻撃③集団で無視をする、特定の仕事をさせないなどの人間関係からの孤立④教育もせず無理難題な仕事を押し付けるような過大な要求⑤退職に向かうよう、わざと仕事をさせない過小な要求⑥仕事以外のプライベートことまで監視したり情報を暴露したりする個の侵害パワハラを受けていても上司と部下だと周りに言いづらい場合や、自分がされていることがパワハラという認識がない人もいるかもしれません。従業員一人ひとりと定期的に面談を行うなどして、管理者の方がパワハラに気付く機会を設けるようにしたいですね。よくパワハラと指導との線引きが分からないという声があります。確かに線引きは難しい面がありますが、簡単に言うと以下の違いがあります。パワハラの目的:相手を馬鹿にする、排除する。自分の思い通りにしたい。指導の目的:相手の成長を促す。社内で指導という名のパワハラ(相手のためと言いながら自分のための言動)が横行していないか、見直してみましょう。補足ですが、部下から上司に対してもパワハラは成立します。【セクハラ】セクハラは2種類に分けられます。①性的な関係を要求され、断ると人事に影響するという対価型セクハラ。②何度も身体を触ってくるので気になって就業意欲が低下する環境型セクハラ。周りが異性ばかりの職場だと、セクハラを受けても相談する相手が居ないケースも。部署の垣根を越えて交流できる場を設ける、メンター制度を導入するなどして、従業員同士、悩みを相談できる相手が見つけやすい環境を整えましょう。【マタハラ】マタハラも2種類に分けられます。①出産や育児に関する制度をわざと利用させないようにする。②出産や育児を理由に配置や業務に関して不当な扱いをする、嫌がらせ。出産後や育児をしながら働く女性は増えています。人材不足が問題になっている昨今、女性の社会進出・活躍も経済発展における重要なポイントです。マタハラを防止することは貴重な人材の定着にもつながっていくでしょう。ハラスメントを規制する法律ここからはハラスメントの規制に関わる3つの法律をご紹介します。【改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)】2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法に、パワーハラスメントを防止する規定が盛り込まれていることから通称「パワハラ防止法」と呼ばれています。パワハラ防止法について、企業は何らかの防止措置を講じることが義務化されています。義務化のスケジュールですが、大企業は2020年6月から開始されており、中小企業は2022年4月に開始されました。防止措置の方法については企業によりさまざまですが、ポイントは下記3点です。①周知・啓発・社内へ周知するためのポスターや文書を配布する・ハラスメントに関する社内研修を行う②体制の整備・ハラスメント防止に関する社内規定を設ける・ハラスメントの相談窓口を設ける③対処・再発防止・相談があった時の対処要領を作成する厚生労働省「職場のハラスメント実態調査(令和2年度)」によると、ハラスメントを知った後の勤務先の対応としては、パワハラでは「特に何もしなかった」(47.1%)が一番多い結果となっています。特にパワハラは事実の不透明さ、社内での権力関係等があり、会社として対処しにくいのかもしれません。もし社員からハラスメントの告発があった場合、それは本人が受け入れがたいと感じているものです。企業として認めるかは別として、一旦受け入れる、決めつけない、フラットな立場で対応することが求められます。また、ハラスメントが成立するかは客観性と社会通念に照らして妥当かが検討されますので、本人が不快に感じたら即成立するというものではありません。【男女雇用機会均等法】男女雇用機会均等法の第11条ではセクシャルハラスメントの防止措置を事業主に義務付ける内容が定められています。また、企業が従業員を採用したり配置・昇進させたりする際に性別を理由に差別的な扱いをしてはいけません。男性も女性も性別にかかわらず、従業員が平等に能力を発揮できる環境を用意することが、企業に求められています。【育児・介護休業法】育児・介護休業法は2017年1月に改正され、妊娠・出産・育児や介護に関するハラスメントの防止措置が事業主に義務付けられました。育児休業を申し出た従業員に対して取得を同意しない、理由に解雇や契約変更など不利益な扱いをすることは禁止されています。また育児・介護休業法は2021年6月に改正され、2022年4月から段階的に施行される予定です。改正のポイントは下記のとおりです。・育児休業を取りやすい環境の整備・産後パパ育休(出生時育児休業)の創設 ※2022年10月~・育児休業の分割取得を可能に ※2022年10月~2023年4月からは従業員が1,000人を超える企業に育児休業等の取得状況を年に1回公表することが義務付けられます。厚生労働省が2021年7月30日に発表した「令和2年度雇用均等基本調査」によると男性の育児休業の取得率が過去最高の12.65%でした。男性も育児に参入するのが珍しくなくなってきている昨今、今後さらに育児休業を取得する男性は増えていくでしょう。企業はそうした男性従業員に対する差別的な発言や行動などハラスメントが起きないよう、防止に向けた対策が求められます。まとめ職場で起こりうるハラスメントや関連する法律についてご紹介しました。今後はハラスメントに関連する法律も強化され、企業にはさらなる対策が求められていくでしょう。ご自身の会社のハラスメント対策について、いま一度見直してみてはいかがでしょうか?ちなみに、厚労省が実施したパワハラ実態調査で、パワハラに関する相談があった職場に当てはまる特徴のトップは「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」です。ハラスメントに厳しくなった昨今ですが、同じ行為でもどう捉えるかは相手との信頼関係によって変わりますので、企業としては社員間の信頼関係を築くことが最大の予防なのは間違いありません。職場コミュニケーションにお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。『人材育成に必要なスキル。初めて部下を持った人にまず大切なことは?』