働き方改革の一環で、新たな働き方のひとつとして注目されている「テレワーク」。・通勤ラッシュを避けられる・家事や子育てとの両立がしやすい・勤務時間を調整しやすいテレワークによってさまざまな利点を見出し、緊急事態宣言が解除されたあとも継続を希望する人は少なくありません。世の中にだいぶ浸透してきたテレワークですが、中小企業ではさまざまな課題を抱えており、大企業にくらべて導入が遅れています。今回は、テレワークの導入について中小企業が抱える課題と、導入に成功した事例をご紹介します。今後テレワークの導入を検討している方は参考になさってください。職場コミュニケーションにお悩みならロコソルへテレワークの導入に伸び悩む中小企業引用:総務省「通信利用動向調査報告書」テレワークの導入状況の推移(従業者規模別)新型コロナウイルスの影響で2020年以降、テレワークを導入する企業が増えました。ですが総務省による「通信利用動向調査報告書」のテレワーク導入状況の推移をよく見てみると、国内の企業全体としては増加傾向にあるものの、企業の規模によって差があることも分かってきました。2020年(令和2年)のテレワークの導入率は、従業員が2,000人以上の大企業では85.2%なのに対し、100~299人の中小企業では42%と導入している企業が半数を下回っています。グラフを見てわかるように、会社の規模(従業員数)とテレワークの導入状況は、ほぼ比例していると言えます。テレワークで中小企業が直面する3つの課題とその対策大企業にくらべて中小企業はなぜ、テレワークを導入するのが難しいのでしょうか?現場での仕事などテレワークに合わない業務もありますし、コミュニケーションの難しさなどテレワークのデメリットもあります。お金がかかる、検討する余裕がない、色々な理由があると思います。しかし、努力次第で中小企業でもテレワークを導入し、そのメリットを得ることも可能です。まずは自社にあてはめてどんなメリットがあるかを整理することが大切です。導入が難しいその理由を3つ挙げてみます。①予算の問題テレワークを導入しようとすると、ハードウェア・ソフトウェアともに準備するものがあります。・自宅で使用するパソコンを用意する・ネット環境の整備・セキュリティシステムの整備・勤怠や会議用に社内システムを導入する挙げたらきりがありませんが、多かれ少なかれ、テレワークの導入には何らかの費用が発生します。2020年以降、新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した企業は多くありますが、経営資源が潤沢な大企業は、比較的こうした費用をすぐに用意しやすい状態にあります。ですが資源が限られている中小企業にとって、こうした非常時の支出は経営に影響を及ぼすこともあり、テレワークの導入も慎重になりがちです。それでは逆に、テレワークを導入して削減できるコストはないか、考えてみましょう。テレワーク導入するということは、オフィスに居る人が減るもしくは居なくなるということです。事務所の光熱費や従業員の通勤手当を減らせることを考えると、結果的にはコスト削減の可能性があります。テレワークを導入したら従業員一人当たり何%削減できるのか、具体的に計算してみるといいでしょう。②ITに関する知識や情報の不足テレワークの導入には、ネットワーク環境の整備やパソコンのセットアップなど、ITに関する知識や情報が必要になってきます。小さな会社だとIT部門や専門の知識がある従業員が存在しない場合もあり、テレワークを導入したくてもする方法がわからない、というケースも。そこで新たにIT部門を設けたり、技術者を雇用したりするのにもまた費用が発生するので、①の予算問題にも関わってくるでしょう。ネットワークの導入など各種相談・検討は、新たに従業員雇うのではなく、まずは全国にあるよろず支援拠点での相談や専門家派遣の活用でコストも抑えられるでしょう。③業務の分担がハッキリしていないテレワークを導入するにあたり、業務内容によって部門ごとにテレワークを導入する・しないを分けている企業は多いようです。大企業では一般的に、事業部・部署・課などと組織が細分化されており、従業員ごとの担当業務が明確化されています。ところが中小企業では、業務の分担がはっきり分かれておらず、また一人の従業員が複数の業務を兼任している場合が一般的です。担当する業務内容が混在していると「Aの業務は自宅でもできるけどBの仕事はオフィスに居ないとできない。」といったことが起きやすくなります。そうなると経営者側も「複雑に交差している担当業務を仕分けるのも面倒だし、テレワークを導入しないほうがいい。」となりやすいです。業務分担をはっきりさせるのもひとつの対策ですが、仕分けが難しい場合は、営業や設計、事務など間接系の従業員にはテレワークに対応できる方向で動いてみてはいかがでしょうか?時代の変化に対応するためにも、ウチではできないと決めつける前に、できるところから始めるのが大切と思います。業務上どうしてもオフィスでしかできない業務に対応するためや社員間のコミュニケーションを活性化する目的で、週に数回は出社するなど工夫している中小企業もあります。テレワークの導入に成功した広島にある中小企業の事例中小企業でテレワークの導入に成功したケースとして、広島市内にある企業「株式会社ヤマサキ」の事例をご紹介します。株式会社ヤマサキは、広島市にあるヘアケアやスキンケア、アロマ商品などの製造・販売をおこなっており従業員は263人(2021年10月20日現在)。もともと準備を進めていたテレワークを、新型コロナウイルスがきっかけで本格的に導入しました。参照元:ヒントひろしま「株式会社ヤマサキの取組」株式会社ヤマサキのテレワーク導入のポイントはこちらの3つ。①導入が難しいと思われる研究開発部門にもテレワークを導入②全社員にスマートフォンを貸与③採用面接もウェブで行うヤマサキでは一般的にはテレワークは難しいと思われる研究開発部門でも、自宅で出来る作業はあると判断し、導入に踏み切りました。また全従業員にスマートフォンを貸与し、テザリング機能で携帯の回線からパソコンをインターネットにつなぐ方法でIT環境を整えたのも画期的です。注)テザリング機能とは、スマホなどを親機として、パソコンなどをWi-FiやBluetoothの無線でつなぎ、インターネットに接続することを言います。そして新卒採用にもウェブ面接を取入れることで、全国各地の応募者が参加しやすい工夫もしています。今後はすべての仕事をテレワークで対応できるようにすることで、拠点のある広島や大阪、東京以外のエリアからの採用や、転勤による離職を防止することを目指しています。こちらの企業は全部門でテレワーク導入、スマートフォンを貸与など、全従業員に対して同一の対応をすることで導入に成功しました。テレワーク導入の有無を業務ごとに仕分ける必要がなく、パソコンの貸与やインターネットプロバイダの契約よりもシンプルです。中小企業ならではの方法でうまく導入できた事例と言えますね。まとめ中小企業のテレワーク導入の課題と、広島にある企業のテレワーク導入の成功事例ついてご紹介しました。テレワークは、今後も新しい働き方として日本国内でも需要が増えていくでしょう。多様な働き方を認めることは人手不足の解消や離職の防止にもつながっていくので、ご自身の会社でも導入を検討してみてはいかがでしょうか?職場コミュニケーションにお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「社内で情報共有の円滑化を図る方法。コミュニケーションを改善するには。」