ここ数年、「多様性」という言葉をよく耳にするようになりました。確かに産休・育休を取って働く女性もたくさんいますし、職場に外国籍の方も増えています。セカンドキャリアの言葉通り中高年の働き方も変化してきました。さらにコロナの影響も加わり、社会が急激に変化しています。この変化の時代の中では多様性を認め合うことがより重要になってきました。しかし実際には「そんなこと言ってもなかなか・・・」というのが本音ではないでしょうか。この記事ではアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)という視点から、どうすれば周囲との関係性をより良くできるのかについて書いていきます。多様な社員をマネジメントするのに役立ちますので、ぜひご参考ください。社員の力を引き出すならロコソルへアンコンシャス・バイアスとは?アンコンシャス・バイアスは「無意識の偏見」です。私たちはこれまでの経験や知識から、「この人は〇〇だからこうだろう」とか「こういう場合はふつう××だ」という風に自分なりに解釈します。これは脳の機能によって自動的に引き起こされることで、何気ない発言や行動に現れます。それは自分が悪意を持って行うことではないので、通常自分の偏見に気づくことは少ないでしょう。無意識の偏見は誰もが持っているもので、良い悪いというものではありません。ただ、大量の情報を処理し、素早い行動につなげるために必要な機能である一方、自分が偏った思い込みをしていても修正することは困難です。自分に偏見があることを知り、自覚的に対処していくことが大切です。アンコンシャス・バイアスの代表例では実際にどのようなものがあるのでしょうか。ここではいくつか代表的な例を挙げていきます。①正常性バイアス:問題が起きても「私は悪くない」と自分に都合がいいように思い込んでしまう②集団同調姓バイアス:周りと同じように行動してしまう③ステレオタイプ:人の属性や一部の特性をもとに先入観や固定観念で決めつけてしまう④ハロー効果:特定の利点や欠点に目が行き、全体の印象がそれに引きずられてしまう⑤サンクコスト効果:費やした時間や労力を考えてしまい、やめていいこともやめられなくなる引用:『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』(守屋智敬著)それぞれの具体的な例は以下の通りです。①自分の部署でミスが発覚しても「たまたま今回起こっただけ。大丈夫」と放置する。②上司がパワハラ的な指導をしていても、「いつものこと」と誰も意見せずパワハラが常態化する。③大型トラックの運転手と聞くと男性、看護師と聞くと女性をイメージする。④「アメリカに留学経験がある」と聞いて仕事ができる人だと感じ採用する。⑤赤字店舗があるが、「今年改装したばかりだし」と閉鎖しようとしない。こうしてみると、どこにでも誰にでもありそうなことばかりですよね。思い込みの結果起こることでは無意識の偏見によってどんなことが起こり得るのでしょうか。下記の例から一緒に考えてみましょう。あなたならどうしますか?あなたは現場のリーダーです。今日は金曜日。トラブルにより、急遽明日泊りで現地に誰かを出張させなければならなくなりました。候補は次の3名です。①Aさん:男性。共働きで幼児が2名いる。②Bさん:男性。独身。③Cさん:女性。先月育休から復帰したばかり。いかがですか?おそらく、Cさんは無理だと思われた方が多いのではないでしょうか?AさんかBさん。一番頼みやすいのはBさんかなというところでしょうか?実は、結局出張をお願いしたのはCさんでした。Aさんの奥さんはシフト制の勤務で週末は仕事。幼児を預けるところがないのでAさんは無理でした。Bさんはどうでしょう?実は明日は趣味でやっている野球の大会があり、ピッチャーであるBさんがいなければ試合に出ることができません。ではCさんは?実はCさんは近所にご両親がおられ、ご主人も週末は仕事が休み。自分が外泊しても何とかなるので大丈夫、とのことでした。どうでしたか?もしBさんに頼んでいても我慢して出張に行ってくれたかもしれません。しかしきっと「なんで自分ばっかり」というモヤモヤはあったでしょう。一方、Cさんは声をかけられないことを「育休明けで仕事を任せてもらえない」とやる気をなくすかもしれません。そう、自分の思い込みで判断することは、時にモチベーションやパフォーマンスの低下、疎外感や相互不信を生んでしまうのです。まずは自分の偏見を知ることから無意識の偏見は自分自身だけで気づくのは難しいと言わざるを得ません。そのため、まずは「偏見の存在を知る」ことから始め、自分の日頃の言動を振り返ってみてください。「○○だと思っていたけど違うのかも」と気づけることが重要です。社員の力を引き出すならロコソルへこちらの関連記事も是非ご覧ください。「社員の主体性を高める方法とは?仕事で力を発揮できる職場づくりを」