障がい者雇用の本音大分前の話になりますが、行政の多くで障がい者雇用が長年に渡って水増し不正されていたニュースが話題となりました。障がい者雇用を先導すべき行政側で長年の不正が明るみになるというショッキングなニュースでした。この事件は、一般の障がい者雇用に対する本音を示したものとも言えそうです。一般人で障がい者に縁がない人(自分にも家族など身近な人にも障がい者はいない人・専門ではない人)は、障がい者のことがよくわかりません。障がい者の多くは一般人の生活圏内にはあまり入ってこないので、障がい者の存在に気づかなくても生きていけるのです(それでも近年は色んな人の努力で以前とは格段に違いますが)。特に精神障がいは非常にわかりにくい。パラリンピックで出てくる選手に精神障がい者はいません。ちょっと辛辣かもしれませんが、一般人の多くは障がい者への対応に対して負担を感じていると思います。障がい者のことは良くわからないし、実際配慮をしなければいけないと言われても負担に感じる気持ちは理解できます。だから、障がい者雇用率は近年段階的に引き上げられている(民間企業は2.3%)にも関わらず、前向きな意識で取り組める組織はごくわずかで、大半はしょうがないから、違約金が取られるから、CSRやコンプライアンスもあるから、という義務の意識で取り組んでいるのではないでしょうか。つまり、障がい者をコストがかかるものと捉えていて、戦力として捉えていないのですね。その結果が、行政まで水増し不正をやっていたという事実に行きつくのだと思います。社員のメンタルヘルスでお悩みならロコソルへ障がい者雇用は数ではなく、質は伴っているのか?この事件があって以降、特に行政では大幅な人数の障がい者雇用を進めました。もちろん就職のチャンスが広がること自体は良いことです。ただ、中身のない人数合わせになっていないか?、雇う側も雇われる側も不幸な結果になっていないか?という質の部分の検証は必要でしょう。言うまでもないことですが、就労というのはその人の人生がかかった大事なイベントです。障がい者雇用で就職しても定着できないことも多いですが、結果的に本人が体調を崩したり、自信を失うこともあり、それは簡単には回復できません。一般の人の就職が失敗する以上に、よりダメージが大きいことは理解しておかねばなりません。そもそも現在の障がい者雇用率が妥当な数値なのかも良くわかりません。実態に対して、目標が高すぎるのではないだろうかという疑問もあります。障がい者を受け入れる職場風土一般に障がい者雇用がうまくいくかどうかは障がい者本人次第だと認識されていますが、それだけではありません。受け入れる職場の風土、モラル、文化といったものが大きく影響します。はっきり言うと、障がい者を受け入れるだけの風土、モラル、文化がない組織は障がい者を雇用しない方がお互いにとってプラスなのではないでしょうか。そう考えると、とにかく数合わせ的に障がい者を雇用しろというのはとても無理がありますし、それは本人の特性や希望を考慮しない機械的な採用や配置、そして離職に繋がるでしょう。川島薫さんの「障がい者の能力を戦力にする」では、障がい者を戦力にするノウハウが紹介されています。著者は、楽天ソシオビジネス(楽天の特例子会社)の役員として活躍されている方で、自ら身体障がい者です。この会社は黒字経営を続けています。障がい者がやっているから赤字でもいいということにはなりません。黒字経営を実践されている優れた会社です。また、広島県では今月、ミライワークさん主催で精神障害者雇用を考えるシンポジウムが開催されます。https://www.challengedworker-dms.info/dms/contest2020障がい者雇用に取り組む企業の事例がこれからもっと共有できるようになればいいですね。障がい者が活躍する職場へ私は精神・発達障がいの福祉事業所に関わっていますが、体調や感情の安定という点で皆さん苦労していますし、支援者の立場として思うような結果が出なくてもどかしい思いを感じることもありました。私は障がい者を守るべき人達とは思っていません。当然ながら配慮は必要ですが、彼らもキャリアアップできるし、自立も目指せる。そう感じています。きれいごとではなく、それが結果的に障がい者だけでなく、組織にとってもプラスになるのです。一般的に、障がい者の方は試行錯誤をしてきた経験が少ないと思います。だからこそ、企業や福祉事業所は決めつけで仕事をあてがうのではなく、本人がどんなところに適性や強みがあるか、それをどう活かせるかのキャリア支援が必要になっていると感じます。障がい者が法律を守るための単なる人数合わせではなく、職場の中で本人の強みが発揮され、周囲の社員からも認められて働くことができる。そして結果として会社が黒字になる(公的機関であれば市民により良いサービスを提供できる)。そういう職場がどんどん増えて当たり前になっていけば、全ての人にとっていいですね。社員のメンタルヘルスでお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「大人の発達障害って何?その種類や特徴とは?」