「うつ病は治るのか?」という問いは当事者にとってとても切実なテーマです。でも不思議なくらい誰もそのことに答えてくれません。この記事では、どういう原因でうつ病になるのか、回復していくにはどういう心構えが大切か、また「治る」ということをどう考えるかについて書いていきます。社員のメンタルヘルス不調でお悩みならロコソルへ 世の中にあふれる様々な情報試しにネットで「うつ・完治」というキーワードを検索して目についたページをパラッと見てみると、うつの期間は通常は数ヶ月程度で回復すると書いてありました。 うつの症状も色んなレベルがあるので、数ヶ月程度の人もいるのかもしれません。でも、あまり軽く書くと長い期間に及ぶ人は失望するのではないかと疑問に感じました。逆に、やっぱり治らないんじゃないかという思いにさせられてしまうサイトもありました。 私のうつ病の回復に対する答えは、「適切な対処をすれば時間をかけて徐々に回復する、波があっても必ず治る」です。 山あり谷ありありますが、治るという希望を持って欲しいと思います。うつ病になったのはなぜ?どんな要因がある?うつ病に至った要因として、自分要因と環境要因とで説明します。治るためにはこの要因をしっかり考えていくことが大切です。これは再発防止としても同様のことが言えます。 自分要因とは、認知の歪みに代表されるような性格的な問題であったり、うつ病に特有の負の感情(怒り、悲しみ、焦り、不安など)が解消できていない状態、本人の生活習慣、PTSDなどです。趣味などストレス解消法を持っているかもあります。環境要因とは、周囲(家族、友人、職場の人など)の理解、職場環境(例:仕事のハードさ、人間関係)、家庭環境(例:家族との関係、介護の負担)、生活環境(例:居住地、住環境)などです。 多くの場合、うつ病に至ったのはそれらの要因が複合的に重なったためだと思います。あくまで私見ですが、例えば過労といった環境要因の中でも比較的動かしやすいものは、それがある程度改善されればスムーズに復帰できるケースが多い気がします。一方で、例えば性格的な問題のような自分要因が主である場合は、それにきちんと向き合っていないと再発してしまうケースが多いように感じます。また、環境要因の中でも人間関係に関する部分は、自分が望ましい関係を築けるか、自分が現実をどう捉えるかという自分要因にも関わってきますので、難しい問題と言えます。 うつ病から回復していくために解決が難しい自分要因の問題を改善するためには、色々なやり方がありますが、基本スタンスとして問題に向き合うことが必要です。急性期のような心身ともに疲れ果てている状態の時は休息を優先し、問題を先送りするべきですが、社会復帰するまでには自分の問題と向き合うことは大切なことです。それを避けていると、見かけ上は回復したように見えても、社会復帰して休んでいた時以上に心身に負荷がかかったら持ちこたえられなくなる、という事になりかねません。 問題に向き合うことは大変なことではありますが、自分が良い方向に変わるチャンスでもあります。病気になったことを前向きに捉えられるかどうかは、こうした試みを通じて自分の成長を実感できるかにかかっているのです。何を意識して自分と向き合うかうつ病を治し、再発を予防するための心構えとして、うつ病の背景にある以下4点を軽減することが大切です。・劣等意識・被害者意識・完全主義・執着主義(無駄なこだわり)問題に対するアプローチは色々なやり方がありますが、周囲の信頼できる人や専門家の助けを借りたり、本やネットの情報を参考にしながら、自分に合ったやり方を探ってみてください。心理療法でも色々なやり方がありますが、合うか合わないかはその人次第なので、仮に一つのやり方が合わなくても諦めずに別のやり方を試してみるといいと思います。回復の表現うつ病など精神疾患の場合、一般的に治ることは「寛解」と表現します。これは「完治」とは違うのか?「完治」は文字通り完全に治るという表現です。それに対して「寛解」はとりあえず治っている、安静を保っているけどまたいつ再発するか分かりませんよという感じでしょうか。既往歴がある方は、確かに未経験の人より発症の可能性は高いでしょうから、再発しないように充分気を付ける必要があると思います。しかし、それは他の疾患、例えば脳梗塞とか心筋梗塞とか胃潰瘍とかでも同じではないでしょうか。そういう意味で、完治とは書きませんが治る疾患だと考えます。もし再発を繰り返すようでしたら、前述したように根本的な問題がケアされていない可能性が高いのではないでしょうか。逆にその部分がしっかりとケアされていれば、「うつ病は再発率が高い」という情報を見ても恐れる必要はありません。そもそもなぜ一般的に「寛解」という表現をされるのか。確かに、現在の医学の常識では精神疾患の中には治らないとされている病気があるのも事実です。でも、「寛解」というのは随分適用範囲が広く、「寛解」という曖昧な言葉が使われる理由は、精神疾患というもの自体が曖昧なものだからでしょう。例えばうつ病についてですが、憂うつな気分やひどい落ち込みでうつ的な状態になることは誰にでもあります。それをうつ病やうつ状態と診断するかどうかは、一定の基準は定められているとは言え、医者や当事者の主観に左右される部分が大きいのではないでしょうか。何をもって治っているというのか?別に薬を飲んでいるから治っていないということではありません。結局のところ、当事者の方が、仕事や普段の生活で本来持っているパフォーマンスをしっかりと発揮できる状態が治っているということだと、私なりに解釈しています。経験者によっては、病気と「付き合う」という表現をする人もいます。「付き合う」のか「治る」のかは病状の個人差にもよりますし、病気に対する認識によっても変わるでしょう。でも表現は違っても、うつ病を乗り越えて新しい人生を拓くことは必ずできるはずです。うつ病にも様々なタイプがあるここまで一般的なうつ病、内因性うつ病と呼ばれるものを想定して書いてきましたが、実はうつ病には他にもタイプがあります。まず、身体に原因があるうつ病です。貧血、甲状腺機能低下、月経前不快気分障がい(PMDD)、更年期障がい、血管性うつ病などがそうです。女性の中・高年齢層が特に多いようです。身体と心は連関しているので影響があるの当然ですよね。このタイプのうつ病は身体の原因となる部分をケアすることが効果的です。また、ここでは簡略しますが、躁と鬱がある双極性障がいもうつ病と関連する疾患です。回復を妨げる他の要素うつ病を治りにくくする要素として、自身が持つ性格特性や環境要因の他に、他の精神疾患(アルコール依存、不安障がい、統合失調症など)との併発が考えられます。また、元々の生まれ持った発達障害がベースにあり、社会適応の難しさからうつ病を発症するケースも多くみられます。そういった場合には当然ながらそれぞれの疾患や障がいへのケアが必要となります。まとめここまでうつ病との向き合い方について書いてきました。うつ病になっても、時間はかかりますが自分と向き合い適切な対処をしていけば、必ず自分本来の姿に戻れます。明けない夜はない。そう信じて一歩一歩進んでいきたいですね。社員のメンタルヘルス不調でお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「うつ病などメンタル不調を予防するサインは?」