人手不足は、現代の日本において多くの企業が直面している課題のひとつです。求人を出しても応募が来ない、求めている人材が集まらない、と悩む経営者も少なくありません。今回は、人手不足の原因と解消するための対策を6つ紹介します。人手不足の解決策をお探しの方はぜひ、参考になさってください。社員が辞めることにお悩みならロコソルへ中小企業の人手不足問題コロナ禍における経済の停滞により、多くの企業で採用数が減っていました。とくに飲食業や宿泊業など、国民の行動制限による影響を受けやすい業種での減少が目立ちます。長引くコロナ禍で多くの企業が影響を受けましたが、今後は経済活動が回復するにつれて業務量も増加し、徐々に採用数も回復していくでしょう。ただしコロナ禍の影響による将来への不安なのか、学生の大企業志向が高まっています。リクルートワークス研究所の「ワークス大卒求人倍率調査(2022年卒)」によると、2022年3月卒業予定の大学生5,761人のうち、従業員が5,000人以上の大企業を希望する学生が前年比51%増加しました。一方で従業員数300人未満の中小企業を希望する学生は前年比35.7%減少しています。上記のデータからも、中小企業では今後、ますます人手不足に陥ることが予想されます。人手不足をまねく2つの原因ここからは、人手不足の原因について2つ解説します。少子高齢化による労働人口の減少日本では1990年代から急なスピードで少子高齢化が進んでいます。このままさらに高齢化が進めば、労働人口も減少の一途をたどると予想されます。今後、多くの企業が人手不足の問題に直面することでしょう。職種により需要と供給のバランスが崩れている職種によって、人手が余る仕事と不足する仕事があります。人材の需要と供給のバランスが保たれないことも人手不足の原因のひとつです。パーソル総合研究所が中央大学と共同開発した予測モデルによると、2030年には644万人人手が不足するといわれています。ただし、すべての産業において不足するのではなく、業界によって違いがあることが分かっています。引用元:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」産業別にみた人手不足 ・人手が不足する業界「労働市場の未来推計2030」によると2030年、特に人手が不足するのはサービス業、医療・福祉、卸売・小売り、製造業など。とりわけ、少子高齢化がすすむと需要が増えると思われるサービス業や医療・福祉などの業種の人手不足は深刻な問題になると予測されます。・人手が余る業界反対に建設業や金融・保険・不動産などは人手が余るという研究結果でした。こちらは日本の人口減少が影響していると予測します。人が減れば当然、住宅の需要が減るので、建設や不動産の業種に影響が出るのも納得です。人手不足を解消するための6つの対策人手不足を解消するための対策を6つあげてみます。週休3日制の導入を検討する週休3日制を導入するのも、人手不足を解消するひとつの手段といえるでしょう。近年、テレワークや副業など柔軟な働き方への需要が増えています。平日に1日休みがあることは、別の仕事をしたり家族との時間に充てられたりなど、従業員にとってさまざまなメリットがあります。週休3日制の導入が、子育てや家族の介護、持病やメンタルの不調を理由に就職をあきらめていた人材が活躍する機会を生み出せるかもしれません。より効率よく収益をあげられる案件を選定して受注する人手不足を人ではなく、収益で補うのもひとつのアイデアです。仕事を受注する際に、より効率よく収益をあげられる案件を選定してみましょう。より少ない人数で多くの収益をあげることが、人手不足の解決策につながります。組織体制や業務の見直し長年続けてきた組織体制や、日頃から当たり前のように行っている業務フローを見直すことで人手不足を解消できる可能性があります。業務量に適した人員の配置を再考する、電子化や自動化によって業務の効率化をはかり工数を減らすなど、人材を増やさずに穴を埋められる手段はないか、考えてみましょう。求める人材の見直し新たに人材を採用する際、求める人材を見直し明確にすることも、人手不足の解消につながる可能性があります。・経験や資格がない人でも業務が遂行できるよう、マニュアルを整備し教育体制を整えてみる・フルタイム勤務者が一人で請け負っていた業務を細分化し、パートタイム勤務者に振り分ける・ 高度な技術を持つシニア人材に活躍してもらう専門性が高い職種は、それに見合う知識や技術を持つ人材がなかなか見つからず苦労する企業も多いことでしょう。業務内容によっては、経験がなくてもマニュアルや周囲の教育体制を整えれば未経験の人材でも対応できる、とったケースもあります。業界未経験者やパートタイム勤務を受け入れることで、今まで人手が不足していたポジションに、新たな応募が来るかもしれません。適材適所を考える業務に適した配置を考え、人材をムダにしないことも人手不足の解消になります。筆者がIT関連の企業に勤めていたときの話です。当時、顧客の大事なシステムやデータを預かる施設の保守・管理チームに所属していました。新規のプロジェクトを発足するにあたり、来訪するITエンジニアに応対する人材が必要となり、IT業界の経験者であり関連する資格をいくつも保持する技術者が入社してきました。ところが、その技術者は数カ月で辞めてしまったのです。本人いわく、自分の技術や経験を活かしきれなかったとのこと。その人にはもっと別のポジションがあったはずです。その後まったくの業界未経験者が採用され、長く勤めていました。その人は業界の経験はないものの、コミュニケーション能力が高く、物腰が柔らかな印象を覚えています。業務に求められていたのはITの知識や技術ではなく、ITエンジニアとスムーズなコミュニケーションが取れることでした。エンジニアの応対なのでIT業界の経験や知識がある人材が良いに違いない、という人事部の思い込みだったのだと思います。業務に適した採用や配置をおこなうことで、人材のムダを削減しましょう。退職者を減らす努力を人手不足というととかく、新たな人材の採用にばかり目が向きがちです。ですが、今いる従業員に長く勤めてもらうことも人材の確保に欠かせない大事なポイントです。・ 職場は気軽に本音を言える雰囲気か・ 悩みや不満を相談できる相手は周りにいるか・仕事にやりがいを感じているか従業員一人ひとりが気持ちよく働けるための努力は日頃からおこないましょう。職場環境の改善に取り組み、従業員の心の声に耳を傾けることも大切です。さいごに人手不足の背景や原因、6つの解決策を紹介しました。学生の大企業志向により中小企業にとって、今後人手不足はさらに深刻化する課題になるでしょう。人手不足はまず現状を知り、創意工夫を凝らして対策を練ることが重要です。今回紹介した6つの対策を参考に、ご自身の会社でも取り組んでみてください。新たな人材の採用と同様に、今ある人材に長く活躍してもらうことも効率のよい人手不足の解決策といえます。従業員の働く環境の整備や心のケアも行いましょう。社員が辞めることにお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「人材定着させる6つの方法。離職の理由から見えてきた従業員の本音」