私がお世話になっている福祉事業所の利用者の中にアルコール依存症の方がおられ、私にとってとても感じるものがあったので書きたいと思います。Aさんは、これまでアルコール依存症で何度か入院を経験していますが、今は毎週断酒会に通い、断酒を継続されている方です。この方からこのような体験談を聞きました。仕事が終わっての晩酌を始め、最初は幸せだった。しかし、次第に夜だけでなく、昼、朝も飲むようになる。依存症と診断され、入院。退院後、息子に「わしの人生返せや!」とぶちのめされた。その痛みより息子の心の痛みが辛くて、断酒会に通うように。でも、断酒会では「もう飲んでいません」と宣言していたが、実はポケットに酒を隠し持っていた。結局酒をやめられず、そんな自分が嫌になってしまう。その後、複数回の入院。家族とも離れ離れになってしまう。退院後に再度参加した断酒会で「今まで嘘をついていた。僕は嘘つきなんです」と皆の前で言った時、初めて自分がアルコール依存症なんだと認めることができた。そして、この時から本当の断酒が始まった。文字にすると結構あっさりですが、今の断酒に至る過程には壮絶な葛藤や苦しみがあったと思います。きっと、Aさんに関わってきた人達もそうでしょう。「今まで嘘をついていた。僕は嘘つきなんです」と吐き出した時、初めて自分が依存症だと認めることができ、この時から本当の断酒が始まったというこの話、とても心を打たれました。自分のダメな部分、失敗した部分をさらけ出すこと、これこそが本当の強さなのだと感じました。Aさんは今も断酒会の仲間と分かち合いながら断酒を継続されている。これは本当に凄いし、ぜひ、いえ絶対に頑張って継続し続けて欲しいと思います。誘惑は絶えずあって、最近ではどこでも置かれているアルコール消毒液も誘惑の一つになります。Aさんは、断酒会という人のつながりが自分を救ったと言われていました。最後はそこだと私も思いますし、もし今何らかの苦しみを抱えていて(疾患、障がい、引きこもり、ワンオペ育児などなど)孤独を感じているならば、ぜひ人との繋がりを求めて欲しいと思います。求めれば必ず救いの糸はあるので。依存症はアルコールに限らず、薬物、ギャンブル、セックス、ゲーム・・色々な罠があります。この話は本人の継続した努力と周囲の支えでうまくいっている事例ですが、継続し続けることは本当に大変なことですし、同じ依存症でも挫折している方、諦めている方も見てきました。原因は人それぞれ、求められると思います。自己肯定感の低さ、環境の激変、トラウマ・・。外に出すことができない沈殿した感情のよどみのようなものを癒す手段として、何かにズルズルと依存してしまうことは誰にでもあり得ます。依存症は、本人が嘘つきなのではなく、依存症が嘘をつかせてしまうのだという側面を理解しないといけないなと改めて感じました。社員のメンタルヘルス不調でお悩みならロコソルへ