近年、職場での人間関係が希薄になっているという話題をよく見聞きします。世代間の価値観の違いやテレワークの推進など、希薄化の理由はいくつかあります。この記事では、人間関係が希薄化する理由やメリット、デメリットを紹介します。職場での人間関係の改善や、人材定着に課題をお持ちの方は、参考にしてください。職場コミュニケーションにお悩みならロコソルへ職場での人間関係が希薄になる4つの理由職場で人間関係が希薄化する理由を4つ挙げてみます。対面や非言語のコミュニケーションが減った新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、テレワークを導入する企業が増えました。会社に出社することなく業務は個別に進め、会議はオンラインで。出社は必要最低限で。テレワークではこういった業務体制が多いようです。また、業務連絡にメールやチャットツールを多用するケースも増えました。対面のコミュニケーションや電話も使用しない、となると文字のみのやりとりになります。そうなるとより、非言語コミュニケーション(見る、聞くなど五感を使ったコミュニケーション)が減り、人間関係が希薄になっていくでしょう。会食や飲み会の機会が減った飲み会が減っているのもひとつの要因といえるでしょう。「飲みニケーション」という言葉があるように、以前は会社の飲み会はお互いの情報を交換し人間関係を深めるための大切な場とされてきました。ところが近年、ライフワークバランスの推進や価値観の変化から、仕事以外のプライベートな時間を大切にしたい人が増えています。そのため業務時間以外は、家族と過ごす、趣味の時間を楽しむなどの理由で飲み会に参加しない人もいます。また、昨今のコロナ状況を受けて会食や飲み会の機会も減り、会社の外で職場の人間関係を築く機会が少ないのもひとつの理由です。コミュニケーションに必要性を感じないそもそも、業務以外で職場の人間関係を必要としない従業員もいます。これは1990年代後半から2010年ころまでに生まれた「Z世代 」に多い傾向です。いわゆるデジタルネイティブと呼ばれる彼らは、幼少期からインターネット、スマートフォンが当たり前のように身近にありました。そういった環境からも、小学生からSNSを使いこなし、学校以外のつながりを持っている人も少なくありません。そんな世代がすでに職場以外のつながりを持って社会人となれば、職場に必要以上の人間関係を求めないのはある意味自然なことともいえます。ハラスメントを恐れて上司から話しかけづらいハラスメントを恐れて上司から部下へ気軽に話しかけづらい、という声も耳にします。何かにつけてハラスメントを主張する従業員もいるようで、そういったトラブルを避けたい思いから、何気ない会話ができなくなった上司もいます。データから読み解く人間関係の移り変わり出典:令和3年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r03-46-50b.html厚生労働省が発表した令和3年の労働安全衛生調査によると、仕事や職場生活において強いストレスを感じている、と答えた人のうち、強いストレスの内容として「対人関係」が該当する人の割合は全体で25%でした。平成29年には30.6%、令和2年には27%、そして令和3年は前述のとおり25%と、徐々に減少している傾向が見られます。一概にはいえませんが、この減少の理由としてテレワークの導入によるコミュニケーション方法の変化も影響しているのでは、とも読み解けます。年齢別にみると、20代が23.2%なのに対し、60歳以上は28.3%でした。年齢層があがるにつれて、対人関係に悩む人が多い結果になっています。年代による違いは、オンライン上より対面コミュニケーションの機会が多い傾向のある50代、60代はより、人間関係に悩みストレスを感じやすいのかもしれません。人間関係が希薄化するメリットそもそも人間関係は密接でないといけないのでしょうか?人間関係が希薄になったと聞くとネガティブなイメージを抱くかもしれません。ですが、人間関係が密でないことのメリットもあります。人間関係のストレスが減る職場の人間関係に疲れている人も少なくありません。従業員同士が仲良くなるのは、お互いの意思疎通をはかりやすい、仕事のモチベーションアップにつながるなどメリットも多くあります。ですが、ときに仲良くなり過ぎたがゆえ、内輪でもめ事が起きたり社内に派閥ができて対立が起きたりということもよくあること。筆者も以前は企業に属する社員として勤めており、上記のようなストレスを感じることが多くありました。ときには上司や同僚との関係が原因で「会社に行きたくない」と思ったことも少なくありません。テレワークを始めてから、業務上のコミュニケーション手段はオンライン中心になりました。その結果、仕事上で人間関係に悩むことがほとんど無くなり、ストレスが減ったのを実感しています。人間関係が希薄化するデメリットいっぽうで、人間関係が希薄になることがデメリットになる場合もあります。孤独を感じやすい人も増えた「データから読み解く人間関係の移り変わり」の章でも触れたとおり、対人関係のストレスは減少傾向にありますが、これは物理的に人と触れ合う機会が減っているのも要因として考えられます。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年以降テレワークを導入する企業が増えており、対面でのコミュニケーションが減りました。入社2~3年以内の若手従業員によくあるパターンを挙げてみます。・就職して地方から上京してきた・一人暮らし・周りに親戚や知り合いも少ないこんなケースもよくあるでしょう。また、どの年代においてもオンライン上でのコミュニケーションを好まない人や、会社以外のつながりの少ない人は、孤独を感じやすくなるでしょう。1日の多くを占めていた職場の人間関係が、テレワークにより希薄になると、孤独を感じやすくなります。従業員の退職理由にもなり得る職場での希薄な人間関係が退職につながるケースもあります。問題なく勤務していた従業員がある日突然、退職届を提出してきて、退職理由を聞いてみると、以下のような声が出てくることも。「実は業務で改善提案したいアイデアがあったが、上司に否定されそうで、発言しづらかった。」「職場でこんな不満があったが、相談する相手がおらず一人で悩んでいた。」本音をいえる相手が居ないと、寂しく感じる人は多いでしょう。もし上司や同僚など、良好な人間関係ができていれば、突然の退職を防ぐことにもつながります。個々の価値観を尊重した距離感を保って良い職場づくりを人間関係が希薄になるとメリット・デメリットの両方があることがわかりました。近すぎず、遠すぎず程よい距離感を保っている状態が心地よく感じるという話をよく耳にします。ただし、人との距離感には個々の価値観による違いがあります。良い職場づくりには、従業員一人ひとりの求める、人付き合いの価値観を知ることも大切だといえるでしょう。グループ、部署など組織ごとのリーダーが、自分の部下に興味を持つこと、知ることから。挨拶や仕事のお礼、雑談などはとても大切なコミュニケーションです。ランチや休憩時間を活用するのもおすすめです。さいごに人間関係が希薄になる原因やメリット・デメリットを紹介しました。テレワークの推進、オンラインコミュニケーションツールの活性化などから、対人関係も集団だけでなく個のつながりを尊重する傾向があります。また人間関係に対する価値観は、世代や時代だけで語るのではなく、個々に価値観が違うことも念頭に置いておきたいポイントです。とはいえ、今後も対面でのコミュニケーションも、職場生活において無視できない、大切な手段であることは確かです。職場の人間関係の改善や人材定着について、なかなか現状を把握しづらい、よい方法が見つからない場合もあるでしょう。そんなときは、専門家のアドバイスを受けるのもおすすめです。職場コミュニケーションにお悩みならロコソルへこちらの関連記事もご覧ください。「多様な人材を活かすために。職場コミュニケーションの必要性」